会えない数だけ (ページ40)

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会ったら会ったで嬉しい反面怒りも覚える

だけど今ここで怒っても何も変わらない

必死になって大人ぶってるけど

きっとバレているんだろうな

『無理させてたよね』

「別に」

" 辛かった "

" 会いたかった "

" 離れたくなかった "

強がることしかできない私は素っ気ない返事しか出来ない

『ハハ、そうだよな(笑)』

隣り合わせで座ってても分かる切ない表情

遠くの海をジッと見つめる美勇人に胸が苦しくなった

「仕事、順調？」

『お陰様で順調です』

「舞台もライブもあったんだってね。
凪がたくさん話してくれたよ」

『凪ちゃん、全部1人で観に来てた』

" 誰か連れて来ればよかったのにね "

って苦笑いで話すけどいつも凪の隣で観ていたのは

紛れもなく私だから

" 来ればよかったのに "

なんて安易に言えることがみんな出来ない

" そうだね "

なんて言う私はもっと無責任だ

『そっちはどう？楽しい？』

「うん、楽しいよ。
元々こっちで住むの昔から憧れてたから
過ごす度に日本帰るの嫌だな、って」

『不自由なさそうでよかった』

「このまま日本の大学辞めてアメリカンスクール通って
英語学んで一生ここに住もうって考えてて」

『また突然だね』

「ここに来たからには出来ること探さないと」

フゥッ、と一息ついた美勇人

『お互い前進もっか』

「えっ？」

『別れよう』

彼はそう言い残してキャリーケースを引いて

テラスを後にした

一つの紙袋を置いて

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