シロツメクサの花冠 (ページ2)

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『ありがとな』

「ううん、暇だったし(笑)」

放課後、彼の校内見学に付き合った

今日は色んな人から声を掛けられていて

ゆっくり話すことが出来なかったからよかった

「そういえば家って何処なの？」

『Aん家の隣だよ』

「あ、そうなの？」

『由美ちゃんに聞いてない？』

「ママに？聞いてない！何にも聞いてない」

" 挨拶行ったんだけどな～ "

なんて言われたけど、私何も聞いてないし

寧ろ隣に引っ越して来た人全然違う森本さんだと思ってたし

「あっ、何か分からないこととか聞きたいことある？」

『んー、特にないかな』

「じゃあ困ったことあったら聞いて！」

『あー、待って、あるある！』

「ん？」

そう言われて止まる彼

私も勢いで止まって、彼を見た

『Aって、彼氏いるの？』

「、、へ？」

『随分とアホヅラだな(笑)』

「や、急だったから、」

『別に答えたくなかったら答えなくていいよ(笑)』

「いないから(笑)」

全然思ってたことと違うこと聞かれてパニック

『そっか』

「うん」

『じゃあさ、』

「ん？」

もうすぐ家に着くというのに

質問する度に止まる

そんなに重要な話なのだろうか

『もっとAのこと知りたい』

「、、私のこと？」

『13年間の空白を埋めるために。
もっともっとAのこと知りたい』

真剣な眼差しで、クリクリとした瞳が私の瞳を捉える

私だってもっと、彼のことを知りたい

「私も、知りたい」

告白でもなんでもないのに

もう夏休みも明けて、秋に向かうというのに

私達の間に春の風が吹いた気がした

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