来世を信じた君と俺 2【wrwrd】【ci】

19話 ページ8

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『チーノ来たよ今日は天気がいいの』


ぴ、ぴ、ぴ、と機械音が響く部屋の中
目のつぶるチーノに話しかける



『今日で3ヶ月だって随分早い気もするよ』



来客用の椅子を持ってきてチーノのそばに座る



『ほんと、ここの人達はみんな親切でね昔の私も初めからこんな世界だったら変わってたのかな』



動かない点滴の管が幾つか付けられてる腕をなぞって
手を重ねた



『でもどんな世界でもチーノが居てくれれば私はそれでいいんだよ』




返事は返ってこない




『あなたが起きないと私幸せになれないよ、こんなに報われてるのにこんなに素敵な世界なのに我儘だよね』





あなたの声が聞きたい
手から伝わる温もり
夕日のような橙色の瞳
全部が脳に焼き付いてる





『ねぇ、チーノ…………おきてよ』





眠る彼を抱きしめるように優しく覆い被さる
白いシーツに水滴が吸い込まれて
暖かいのに、温もりを感じるのに彼は死んだように目を閉じていて
水色の髪の毛がくすぐったくて




何故これほどにまで私たちの間には障害物が多いのか

きっと私が自 .殺なんてしようって言ったから

生きるのを1度諦めたから

まだ動く命を捨てたから

彼を苦しめた罰なのだ

私の事なんてどうでもいい

どうかどうか彼の願いを聞き届けて下さい

もう一度目を見て伝えたいの

辛くて暗い思い出ばかりだったけど

彼と昔話をしたい

あの場所でもう一度星を見たい

まだチーノからの気持ちを聞いてない









『お願いチーノ……もう一度抱きしめてよ』









静まり返った部屋に響く私の声
ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、……と規則正しくなる機械音
独特な消毒の匂い
真っ白なシーツ
開いてる窓から風が優しく吹いて
カーテンが踊るように揺れる









とても静かな＿＿＿＿









｢A…｣









覆いかぶさってる私の背中に割れ物に触れるかのように手が回る
抱きしめられて顔は見えない
誰の声かなんてすぐに分かる








『チ、ノ…』




｢言うたよな、覚えとる？お前が望むなら……
俺なんでも叶え、たるでって｣








絞り出すような声でゆっくりと囁く
自分の身体を起こして顔を見れば
橙色の瞳を輝かせて優しく笑うチーノで





『覚えてる、全部思い出したんだよ私沢山、話したいこと……あるのっ』




ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる
それを見てカラカラと笑ってチーノはあの時のように
私の頬に手を伸ばす









｢全部、全部聞いたるよA｣









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