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16話 ページ18
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突然の事だった
モニターに映るAが何かに怯えるように震えて床に踞る
「ちょ、グルッペン！」
「落ち着け見とくだけでいい危なそうなら俺が飛ぶ」
ロボロが耳を澄ませば
消えろ、いなくなれ……と頭を抱えて呟き苦しそうな彼女
少ししてだいぶ落ち着いたようでよろよろと洗面所の部屋へ入っていった
「な、なんやったんや」
「オスマンが彼女の中を見た、大分根強く植え付けられているな」
「……こんな幼いのにな」
「16くらいだそうだゾどうだ？」
「そんなに拗らせてないわ……」
ニタニタと面白そうに笑うグルッペンに引き気味な視線を向けるロボロ
グルッペンはよいしょ、と立ち上がり
部屋を出る
「今日の夕食には顔を出せよ」
「はいよー」
ふぅ、と一息ついて
食べかけの栄養調整食品を頬張る
ジジジ……と少し巻き戻し部屋の中をキョロキョロする彼女をまた見る
「……」
じっと面を付けずに濃いピンクの双眸を揺らし
彼女を見つめる
そっとモニターの彼女に小刻みに震える手で触れた
困ったような顔にまだ緊張してるのか警戒してるのか縮こまってる彼女
真っ白な雪のような髪に肌
雪の上に絵の具を落としたように色付く赤く小さな唇
薄ピンクの瞳が儚げで
言葉もたどたどしくまだ覚えたばかりのように言葉を紡ぐA
「天使みたいやな」
彼は気づけなかったのだ
自分が彼女に抱き始めた小さな小さな感情の種に
誰もまだ気づけなかったのだ
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