47 ページ47
・
裏切り者がいるという話も終え、御二方が観戦する方の部屋に移動したのを見て、私は一先ず湯呑みを片付ける事にした。
五条さんが飲み終えたものと、庵さんが投げたものを手にして廊下に出る。
すると、見知らぬ方が前を歩いてきた。
片目を白髪で隠した女性。妖艶で、綺麗な人。
もしかして、今日の交流会を観る方かなと思い、廊下の端で、通る際にお辞儀をした。
もう行ったかな、なんて顔を上げれば、私の目の前に立っていた為、ギョッとしてまた頭を下げる。
しかし、「顔をあげていい」と言われ、恐る恐るその人の方を見た。
その人は、目を細めて薄く微笑んでいた。
「君が、鈴鹿Aかな?」
「は、はい」
「フフフ、緊張しなくてもいいさ。私は単に興味があるだけ。君にどれだけの価値があるのかね」
価値。私の価値。それは、“結人”と呼ばれるものと関連しているのか、はたまた別の事なのか。
「もし君も私に興味があるのなら、私のところに来るといい。今日のうちに考えておいて」
「えっ?えっと、それってどういう…」
「スカウトさ。良い返事を期待しているよ」
それだけ言って、その女性は去っていった。私は頭の内で考える。
これからの呪術師人生は、どこで終幕が訪れるのか。そして、どのように終えるのか。さっきの人に着いていくことによって、それがまたどのように動くのか。
見当もつかない。ただ、いつまでもこうして、何も選ばずにはいられない。信じられる側に着いていくとは決めていたけれど、今の話で言うなら裏切り者も見極めなければならない。
難しいと思った。過去も今も未来も、選択肢が多すぎて選べない。
「(…でも、五条さんに所有権があるなら、自己決定出来ないのかな?)」
いやでも、五条さんは今まで私に好き勝手させてくれていたし、許してくださるはず。
とりあえず、交流会を見て学べる事は沢山学んでおこう。
171人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
作者 - 紅葉さん» 弐の方にもコメントしてくださっていたんですね!気づくのが遅れてしまってすみません!読んでくださってありがとうございます! (2021年2月24日 22時) (レス) id: abf4ad4153 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 五条先生の創作アルバム怖いですね……最後のセリフで「ヒェッ」ってなりました……。面白いです! 真希さんのツンツン具合がまた好き……続き読んできます (2021年2月22日 8時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - ゆうなさん» わっ、本当に申し訳ございません…。修正させていただきました!今後も当作品をよろしくお願いします! (2021年2月6日 23時) (レス) id: abf4ad4153 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな - いつも楽しく読ませて頂いています!あの、22話くらいから、名前変換ができなくなっている気がします。華瑠→華琉になっているからだと思われます!此方の不具合でしたらすみません…これからも応援してます!! (2021年2月6日 11時) (レス) id: 3ecb08afbf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2021年1月26日 23時