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「その調子で頼みますよ。今の虎杖君にはそういう馬鹿さが必要ですから」
ふと、七海さんが零した言葉。胸がキュウっと締め付けられる。
悠仁君、辛い任務に当たってしまったんだ。あの若さで、大変だっただろうに。
五条さんも思い詰めるところがあったのか、上を向いて目隠しの辺りを触って言った。
「重めって、そう言う意味じゃなかったんだけどなぁ……吉野って子の家にあった指について悠仁に…」
「言ってません。彼の場合、不要な責任を感じるでしょう」
「オマエに任せて良かったよ」
お二人の会話は、入れない何かがあったから、私はその何かを吟味すること無く、黙って座っていた。
「で、指は?」
「ちゃんと提出しましたよ。アナタに渡すと虎杖君に食べさせるでしょ」
「チッ」
…いや、七海さんにとっての“何か”は、信頼も入り交じった腐れ縁なのかもしれない。
五条さんの舌打ちが聞こえてきたその時、待ち望んでいた声が聞こえてきた。
「あっ、先生ー!はやく皆のとこ行こうぜ!あ、ナナミンとAさんもいる!」
「ちょっとだけ久しぶり、悠仁君」
「おう!」
悠仁君はてっきり落ち込んでいるのかと思ったけれど、そんな事はなかった。
いや、その表現もあっていない。
どちらかと言うと、その落ち込みをバネにしている。
そして、何より伏黒君と野薔薇ちゃんとの再会や、新しい出会いにワクワクしていた。
そこに、五条さんは言う。
「悠仁…もしかしてここまで引っ張って普通に登場するつもり?」
「え!?違うの!?」
「死んでた仲間が2ヶ月後、実は生きてましたなんて、術師やっててもそうないよ。やるでしょ、サプライズ!」
「サプライズ…」
いやまぁ、そりゃ、無いでしょう、死者蘇生なんて。
しかも、サプライズなんて…ブラックジョークぶっぱなしすぎだ。
「ま、僕に任せてよ。1年は嬉しさと驚きで泣き笑い。2年も京都も貰い泣き。嗚咽のあまりゲロを吐く者も現れ、最終的に地球温暖化も解決する」
「イイネ!」
「(いいの!?)」
「何したらいい!?先生、俺、何したらいい!?」
「何もしてなくていい!!僕の言う通りにしろ!!」
「だから何したらいい!?」
あまりの路線外れに七海さんと私は口を噤む。思わず冷や汗をかいていた。
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作者 - 紅葉さん» 弐の方にもコメントしてくださっていたんですね!気づくのが遅れてしまってすみません!読んでくださってありがとうございます! (2021年2月24日 22時) (レス) id: abf4ad4153 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 五条先生の創作アルバム怖いですね……最後のセリフで「ヒェッ」ってなりました……。面白いです! 真希さんのツンツン具合がまた好き……続き読んできます (2021年2月22日 8時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - ゆうなさん» わっ、本当に申し訳ございません…。修正させていただきました!今後も当作品をよろしくお願いします! (2021年2月6日 23時) (レス) id: abf4ad4153 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな - いつも楽しく読ませて頂いています!あの、22話くらいから、名前変換ができなくなっている気がします。華瑠→華琉になっているからだと思われます!此方の不具合でしたらすみません…これからも応援してます!! (2021年2月6日 11時) (レス) id: 3ecb08afbf (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2021年1月26日 23時