09話 : 寒暖差 ページ9
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「はぁっ!?」
と叫び声をあげる五条。
同時に両手で両耳を隠す。
その拍子に持っていた紙袋を床に落としてしまう。
が、五条はそんなものを気にしている余裕などない。
「違っ、これはっ、その、そ、そう!寒暖差、寒暖差!!
あの、えっと、部屋の中がすごく暖かくて、いや、暑くて!
そのだから、廊下との寒暖差で、こー、赤く……」
と必死にAに説明するが、
「……顔も?」
と純真無垢な表情で聞かれると、
五条は、
「いや、だから!その!!寒暖差で、寒暖差だから!
違っ、そ、え、だから、」
と日本語にすらなっていないが、口を閉じることなく、むしろヒートアップして行く。
「悟……?」
「いや、別にお前のこと考えてたとかないし!?」
「悟?」
「ほら、俺の部屋ってすごく日当たりいいんだよ!!」
「悟」
「だからぁ!!寒暖差だって言ってんだろ!!?」
「……何が?」
五条は、低く、少なくとも幼い子どもの声ではない、その声に違和感を覚えて、
先程まで言葉を紡ぐのに夢中で、閉じていた目を開く。
「さっきから、何を叫んでるんだい?
名前を呼んでもずっと無視していたけど……」
開いた視界に入ってきたのは、同じ背丈の男。
つまり、
「……え、あれ?なんで傑が…」
「カセットの方は私が持っていたことをさっき思い出してね
買い出しの荷物を置いて、取りに来たんだ」
と説明する夏油。
五条は、先程までの自身を振り返り、頭を抱える。
「それで、悟?
先程まで一体何を叫んで……」
「忘れろ」
「え?」
と夏油の言葉を遮り、両肩をガッシリと掴んで、
サングラスの隙間から夏油の目をしっかり、見つめて、いや、睨んで……
「忘れろっ!!」
「あ、ああ……、分かったよ」
と、ヤクザ顔負けの、その勢いに飲まれて、夏油はそう返事をした。
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さくら(プロフ) - コメント失礼します!読めることが嬉しいので、ルーシェさんが書きやすい方で、大丈夫です!!更新頑張ってください! (2020年11月15日 0時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
ミサカ - コメント失礼いたします。更新方法についてですが、他の皆様もおっしゃっているように私も作者様のしやすい方法がいいと思います!ただ、個人的には本誌の時間軸のも読みたい、、という葛藤もあります、、どちらでも応援しています!頑張ってください(^^) (2020年11月14日 20時) (レス) id: 621bb75200 (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - 初じめましてっ!!いつも更新楽しみに読ませてもらってます!!私は分けても分けなくても喜んで読みますっ!ルーシェさんが書きやすい方で無理ない程度にできる方で…。この作品めちゃめちゃ好きです!!更新頑張ってください!! (2020年11月14日 20時) (レス) id: a001c22ffc (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - ただ原作編の夢主が現作品から何か変化(性格とか考えとか)があった設定であった場合、ちょっとネタバレ感あるかな?と。個人的にはどちらでも嬉しいので作品さんの負担にならない方でお願いします!長文失礼しました。応援してます!頑張ってください! (2020年11月14日 19時) (レス) id: 14272ccc3a (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます。アニメ最高ですね!発狂して怒鳴られました笑この作品もめっちゃ好きです。作品のことですが出してもらえたら全然読みます!むしろwelcomeです。 (2020年11月14日 18時) (レス) id: 14272ccc3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルーシェ | 作成日時:2020年10月26日 1時