愛屋及烏 【呪術廻戦】

43話 : みーつけた ページ43

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｢……｣






Aは息を殺して、身を隠す。



あの人は誰か？

なぜ私を狙ってくるのか？



Aはそんなことを考えるが、

どうしても頭が回らない。



今はそれよりも、男に見つからないようにしなければいけない。



と分かっていても、



久々に向けられた明確な殺意に体は素直だ。



指先が震える。



Aは眼を閉じて、深呼吸をする。



少し落ち着いたような気がした。






が、安心はつかの間……






｢みーつけた……ってな！｣






と男が刀を振り下ろす。

Aは地面を蹴って、間一髪を逃れる。






｢やっぱ屋上にいたか｣


｢……なんで…｣


｢あ？簡単な話だ



俺はすぐに下を覗いたにもかかわらず、お前の姿は見えなかった。



勢いよく下の階のベランダに入れば、俺みたいに窓ガラスが割れる

ある程度勢いを殺してベランダに入れば、その長さなら毛先くらいは見えるはずだぜ｣






と男との間合いを維持しながら、男の話に耳を傾ける。

男は楽しそうに話を続ける。






｢つまり、下に行った訳じゃないってことだ

なら、どこか？



簡単な話だ

お前はあの時下に落ちたように見せかけて

柵に捕まり、勢いを使ってそのまま横の柵まで飛んだ



そして俺が下を確認している間に柵の上に登って、上の階のベランダへ

で、俺がベランダから出ると、そのまま上へ上へと登って行ったんだよなぁ？｣






と推理する男。



男の言っていることは正しい。

Aは男と自分の能力差を考え、真正面から逃げるという選択肢を消した。

それよりも隠れる方に力を注ぐことを決めたのだが…






｢さて、ここからがお楽しみの時間だ

……久々の手合わせと行こうぜ…｣






Aは、【久々】という言葉に違和感を覚える

だが、そんなことを考える余裕はない。

一瞬で間合いを詰められる。



右上から刀が下ろされることを見た(・・)Aは、

左側へ移動する。






｢くそっ｣






男は避けられるとは思っていなかったのか、

そんな声を漏らす。



が、男は勢いを殺すことなく、次々に刀を振りかざしてくる。

Aは男の瞳と刀をしっかり見て(・・)、避ける。



Aの眼が、

カラコンで隠されたその瞳が

紅く光を放っているように見えた。










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