24話 : 夜の山奥 ページ24
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……ジジッ………
慣れた足取りで山道を上る少女。
太陽が沈み、月は天高く昇っていた。
「……遅いぞ」
頭上から声が聞こえる。
その声は少し怒気を含んているように聞こえる。
少女は声の主を見て微笑み、
「ごめんなさい…、
……少し抜け出すのに時間がかかってしまって…」
と眉を下げる。
その言葉に男は顔を背ける。
少女は声の主のところまで近づき、声の主である男を見つめる。
すると横から、
「ジジッ…様は、一刻ほどこちらで待たれておられたのですよ」
「こんばんは、ジジッ…さん」
「こんばんは」
先程の男とは違う、中性的な顔立ちの者に声を掛けられる。
その様子が気に入らなかったのか、男は、
「下がれ」
と告げる。
中性的な顔立ちの者は頭を下げ、失礼致しますと姿を消した。
「ん」
と先程まで顔を背けていた男は、怒りを鎮めたのか自身の腕を広げる。
少女はなんのためらいもなく、青年の腕の中に。
「お前くらいだ
俺を一刻も待たせるのは……」
「……ごめんなさい」
「……そんな顔をさせたい訳ではない…
…ただ、……」
「……ただ?」
「……なんでもない」
強く抱き締められる。
強く、とても強く。
離さない、逃がさない、とでも言うように……
「……お前は俺のものだ」
「…私は私のものですよ……」
と返事をすれば、
男は少し不貞腐れながら、抱き締めている腕を一本離し、少女の頬を撫でる。
少女は心地良さそうな顔で撫でられ、猫のようにその掌に擦り寄る。
「……でも、あなたと入れるこの時間は好き…」
「…時間だけか…?」
「……どうでしょうか…」
「…まったく…。俺を揶揄えるのはお前くらいだ」
と男は小さくため息をついた。
そして、少女の口を自らの口で、遮る。
少女は抵抗することも無く、受け入れ、溺れる。
降り注ぐキスに。
深くなるキスに。
夜の山奥。
聞こえてくる2人の吐息…、
互いに微笑み、抱き締め合い、また唇を重ねる。
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さくら(プロフ) - コメント失礼します!読めることが嬉しいので、ルーシェさんが書きやすい方で、大丈夫です!!更新頑張ってください! (2020年11月15日 0時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
ミサカ - コメント失礼いたします。更新方法についてですが、他の皆様もおっしゃっているように私も作者様のしやすい方法がいいと思います!ただ、個人的には本誌の時間軸のも読みたい、、という葛藤もあります、、どちらでも応援しています!頑張ってください(^^) (2020年11月14日 20時) (レス) id: 621bb75200 (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - 初じめましてっ!!いつも更新楽しみに読ませてもらってます!!私は分けても分けなくても喜んで読みますっ!ルーシェさんが書きやすい方で無理ない程度にできる方で…。この作品めちゃめちゃ好きです!!更新頑張ってください!! (2020年11月14日 20時) (レス) id: a001c22ffc (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - ただ原作編の夢主が現作品から何か変化(性格とか考えとか)があった設定であった場合、ちょっとネタバレ感あるかな?と。個人的にはどちらでも嬉しいので作品さんの負担にならない方でお願いします!長文失礼しました。応援してます!頑張ってください! (2020年11月14日 19時) (レス) id: 14272ccc3a (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます。アニメ最高ですね!発狂して怒鳴られました笑この作品もめっちゃ好きです。作品のことですが出してもらえたら全然読みます!むしろwelcomeです。 (2020年11月14日 18時) (レス) id: 14272ccc3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルーシェ | 作成日時:2020年10月26日 1時