伝えたいこと ページ40
湧き上がる失意の中…私は面接の時に学長から問われたことを思い起こしていた
"君はその悲願が達成された後…どうする？"
…分からない
「高菜 こんぶ」
そう言って狗巻先輩は私の肩を軽く2回叩いた
私がゆっくりと顔を上げると､狗巻先輩は曖昧に口角を上げる
…励まし､だろう
無性に腸が煮えくり返るような気分がした
狗巻先輩は､私に立ち上がるよう掌を差し出す
私は咄嗟にその手を振り払った
狗巻先輩は思いがけない反応だったのか､唖然として私の顔を見つめる
一点の曇りすらない…光のような善人に対して､無性に腹が立った
…違う 今この人に当たり散らしたって意味は無い
分かってる 分かってるのに…
『…ごめんなさい
…任務は終わりましたし､山を降りましょう』
「…しゃけ」
短いその会話の中､私達は屋敷を出た
〜狗巻side〜
"今回呪霊を祓うことに関して一切手を出しちゃいけないよ"
悟の指示…それに従って自分はAの戦闘に一切首を突っ込まなかった
思った通り､呪霊は図体がデカいだけの2級程度
名もない呪具でも簡単に祓えるような雑魚だった
…だけどそれがダメだった､のだと思う
何より自分はAが高専に来た経緯をよく把握していない
…悟からちゃんと聞き出していれば良かった
『なんで…？！』
Aがその場に崩れ落ちるように塞ぎ込む
何か､何か言わなければ
"Aが壊れてしまいそうな時は…棘が守ってあげて"
悟からの言葉が頭に響く
「…いくら､高菜…ツナマヨ」
自分の口から出た言葉に嫌気がさす
…最初から無理だと分かっていた
自分の"言葉"じゃ届かない
ふと…高専でAが言っていたことを思い出した
──
『…え？呪術師になったら？』
「おう なんかあるだろ？」
訓練の合間､木陰に座りパンダとAは呪術師としての他愛ない会話をしている
特に聞き耳を立てていた訳では無いが耳に入ってきた
『そうですねぇ…あんまり考えたことがなかったです』
「じゃあ､今考えたらどうよ？」
パンダは明らかに楽しんでいる
後輩いじりはパンダの得意分野だ
『…強いて言うなら､"その時の自分が可能な限り…誰かを助けたい"です』
「…というと？」
真面目に考え込むA
嘘偽りのない言葉だということは容易に判断できた
『その…上手く言えないんですけど､"あの時こうしていれば…"とか､"あの時行動していれば…"なんて後悔を1つでも多くなくしたいんです』
「ふーん…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セイ - コメントありがとうございます！前述した通り､私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…！これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです！表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくＥＮＤってありますか？？いつも更新ありがとうございます！主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セイ | 作成日時：2021年1月15日 3時
