無駄な意識 ページ39
「明太子？」
『はい､あれが…彼奴が由梨を殺した呪霊です！』
1ヶ月前に見た姿とまるで同じ
大量に生えた掌は…由梨の死を憐れむように合掌していた
私は瞬時に戦闘態勢に入る
狗巻先輩は後退し､私の後ろへと下がった
…恐らく五条先生の入れ知恵だろう
Aとの戦闘に横槍を入れるな､とでも言われたはず
…まぁ､正直ありがたかった
呪霊は狗巻先輩には目も暮れず､私へとドブ色の腕を伸ばす
…いや､正しくは私のポケットに入った物だ
左には先程拾ったヘアバンド
そして右ポケットは…！
『…何､コレが欲しいの？！』
次々と繰り出される攻撃を右へ左へと躱しながら私は叫んだ
呪霊に向かって高々と小瓶を掲げる
中で由梨の爪が揺れた
「アアあ"あま"ナイ"のぉお"オ…！！」
"天内"
恐らく最初に会った時も同じ言葉を放っていたのだろう
その言葉の意味など…どうでもいいとさえ思えた
祓え(ころせ)る
それだけで十分だった
私は呪霊の呪力を全身で受け止める
…それと同時に､呪力の穴が瞼の裏に映る
高専に来てから2週間の成果
私は意識的に呪力を感じることが出来るようになった
由梨を殺した呪霊からは異常なまでに隙だらけだ
何かのブラフだろうか
私は距離をとり､腰に提げていた拳銃の呪具を構える
油断はしない
呪霊の隙を真っ直ぐに見つめ､私は引き金を
迷うことなく引いた
重い反動により､後ろへと仰け反る
次の攻撃を見切るため､直ぐに態勢を建て直し…
『 ───────は…？』
先程接敵していた呪霊は､無惨にも弾け散っていた
由梨を殺した呪霊は唯の肉塊へと成り果て､ボロボロと砂のようになって消滅しかかっている
私は拳銃を捨て､ナイフを鞘から抜き出す
呪霊へと一目散に駆け寄り､大きくナイフを振り下ろした
その刃が呪霊に届くことはなく…ただ虚しく呪具は地面に深く突き刺さる
「グがぁ…」
…その奇声を最期に､呪霊は完全に消滅した
『…なんで死ぬんだよ』
口から零れた言葉に自分でも驚く
私が望んでいたことだ
望んでいた結果､望んでいた未来…
何が違うって言うんだよ…！！
『なんで…？！』
私は足の力が抜けたようにゆっくりとその場に伏せた
「…いくら､高菜…ツナマヨ」
狗巻先輩の静かに諭すような声が頭上から聞こえる
…珍しく､何も理解出来ない言葉だった
いや…理解するつもりもなかったんだ
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セイ - コメントありがとうございます！前述した通り､私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…！これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです！表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくＥＮＤってありますか？？いつも更新ありがとうございます！主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2021年1月15日 3時
