呪術廻戦〜貳爪探し〜

顔合わせ ページ25

〜五条side〜

Aが去った部屋の中はシンと静まり返っていた

その空気に耐えきれず､僕は我慢していた笑いを漏らしてしまう

「どうです学長 面白い子でしょう」

学長はいつも通り…いや､普段より2〜3本多く眉間にシワを寄せた

「冗談じゃない 正直寒気がした」

それが面白いってのに

「学長相手にまるで物怖じしない度胸 詭弁が見破られた時の言動が"バレました？"って…」

僕は口元を抑えて苦笑する

「呪いを"殺す"か…そんな言葉は久しく聞いた …それで五条､彼女が遭遇した呪霊の見当はついているのか？」

「いや全くぅ？」

調べてすらないしね！

僕のあっけらかんとした態度に学長は深くため息をつく

「でもまぁ､呪霊の報告があった際にはAを任務につかせるつもりだけど…時期を見誤らないようにするよ」

「…そうしてくれ」

僕はAの後を追うため部屋を去った

今日中に､Aの編入に必要なことは全て済ませよう

明日はお待ちかねの顔合わせだ

…さて､あの子らは一体どんな反応をするかな



〜Aside〜

翌日

五条先生から受け取った学生証には つまらなそうな顔をした私の写真

その左斜め上に"四"という漢数字があった

後から聞いたところ､それは呪術師としての等級を表すらしい

私は一番下の四級だ

勿論そんなことは構わないけれど…

…そうそう､母の遺体は昨日しっかりと燃やした

親族も友人もいないような人だったので葬式は行わず､遺体を火葬しただけ

私は…母の遺骨は引き取らなかった

向こうの人には渋い顔をされたけど…


…私が背負う呪いは一つだけでいい


そう思っただけだ

私は渡された高専の制服に着替える

左胸の辺りにある渦巻き模様のボタンが1つ

可愛い…とはお世辞にも言えない

初めて着る制服に違和感を覚えながらも私は五条先生の後ろをついていく

高専の人達に初めて会える

初手シカトされたらどうしよう…なんて不安を抱えながらも私は芝生が広がる大きなグラウンドに出た

「あれ､五条先生」

「なんだ悟が見に来るなんて珍しいな」

五条先生の巨体のせいで私の姿は目に入らないようだ

私は後ろから緊張しながらもヒョイと顔を出した

「「…」」

何故か流れる沈黙

気まずい…！！

「…誰？」

「おい馬鹿 何処から拾って来たんだ」

「高菜」

「元の場所に戻してこいよ悟」

えーっと…これは歓迎されていない､ということでいいのかな？

そんな中､昨日一瞬目が合った黒髪の少年は黙りこくっていた

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