【呪術廻戦】くいーん・あい【五条悟】

10話 side you ページ11

五「伊地知が薬買ってきてくれるって。で、僕にどうしてほしいって？」


あまりにも美しすぎて、呼吸を忘れた。


五「ほら、どうしてほしいか言いなよ。」


なにコレご褒美？


『んなっ！ななな何にもありません！』


近付いてきた彼の顔から逃れるべく布団をかぶる。


ギシっと嫌な音を立てて私の両端が凹んだ。


そして顔にかけた布団が剥ぎ取られる。


目の前には綺麗な瞳と整った国宝級のお顔。


『あ、これ私命日だ。』


五「俺がお前に冷たい理由知りたい？」


『五条様口調が変わられております…』


五「覚えてるかなー？お前一回俺の事拒否ったんだよ？」


『私が五条君を拒むわけないじゃないですか。』


五「ふーん。覚えてないんだ。」


段々と五条君の綺麗なお顔が近づいてくる。


『えっとこれはどういう状況ですか…？』


思わず彼の肩を押し返して問いかけた。


五「ほら、拒否ってんじゃん。」


『いや、拒否とかではなく。ちょっと意味が分からないっす…』


五「んじゃキスするよって言えばいいの？」


『ｗｈｙ？』


五「したいから。」


『待ってくださいね。これは夢ですか？一回頬つねっても？』


五「僕がつねってあげるよ。」


ムニっと遠慮なく私の頬をつねる五条君。


『いひゃい…』


五「で？いいの？」


『私は大歓迎ですが、願ってもないですが、今はダメです。風邪、うつるので。』


五「いいよ別に。ってか風邪じゃないでしょ。過労でしょ。」


『そもそも五条君って私の事嫌いなのでは？』


好きな人が自分を嫌いとか物凄いショックだけど、それは紛れもない事実。


五「焦らすなって。」


『待って待って！かっ、かっこよっ…かっこよすぎて心臓が止まる！』


五「もう黙ってろ」


そう言ってスッと近づいてくる彼の顔にギュッと目を閉じる。


吐息が唇に触れれば、タイミングよく来客を告げるチャイム。


五「ちっ…伊地知め。」


舌打ちが聞こえ体の上の重みが消えた。


ドッドッドッと心臓が痛いくらいに音を立てている。


『熱があがった気がする…』


先ほどよりも重くなった体に堪らず瞼を閉じる。


五「せめて薬飲んでからくたばれよ。」


強引に錠剤を押し込まれ、抵抗することなくそれを口に含む。


ご丁寧に水分も流し込まれ、難なく飲み終えた。


これを五条君がしてくれてるのだと思うと、私は明日死んでも本望です。


『やっぱ好き。』


沈んでいく意識の中で最後に「バーカ」と彼の声が聞こえた。

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