第44話 ページ2
今までの攻防で、加茂の矢は残り一本となった。狭い場所でAの術式が機能しにくいのは難点だが、加茂の遠距離攻撃を潰せるのは大きい。
「同時にもう一種式神を出せるだろ?そして君の術式の出力はもっと高いはず。出し惜しみされるのはあまり気分が良くないね」
「私の術式で丸焦げにされたいならそうしてやるけど?」
「加茂さんこそ矢、ラス1でしょ。貧血で倒れても知りませんよ」
Aが術式の出力を抑えているのは人体への損害が大きすぎるから。それぐらい加茂も解っているだろう。伏黒が術式を一体だけにしているのは、玉犬が狗巻のサポートをしているからだ。勿論、それを加茂に伝える気はないが。
「心配いらないよ。これらは全て事前に用意したものだ。そして私は、丸焦げにされる程弱いつもりはない」
そう言った加茂は、最後の矢をA達の真上の天井に放った。天井から板や破片が降り注ぐ。Aが直ぐ様、加茂が近づけないようにしながら破片を燃やす。だが、加茂は炎が消えきる前に拳をAに振るった。どうにかしてAは腕でガードする。だが呪力で体を守るのは間に合ったが、術式を纏うのは遅れた。腕にビリビリと衝撃が伝わってくる。
直ぐに術式を体全体に纏う。
加茂はAへの追撃を止め、伏黒へ殴りかかる。伏黒も武器で攻撃を受け切ったが打撃の強さに驚いているようだった。
(矢を放ってから一瞬でこっちに来た…階段で十段以上も離れてたのに…!それにこの膂力、術式の効果か!?)
「2人ともよく反応したね。気を抜くなよ」
そのまま伏黒に殴る加茂、その衝撃で伏黒の武器が破壊された。咄嗟にAは炎を纏った拳で加茂に殴りかかる。それを躱した加茂は一瞬で数メートル先まで離れた。やはり速度が上がっている。
加茂は右目を開き、周りに赤い紋様が浮かび上がっている。
急激な速度とパワーの絡繰りに伏黒が気づいたようだ。
「ドーピングか!」
「よく気づいた。だが、俗な言い方はやめてほしいね」
体内の血液も操って、身体能力そのものを底上げする。加茂は最初から近距離の攻撃手段を持っていたことになる。しかも遠距離攻撃よりもよっぽど厄介なものだった。Aは内心舌打ちをした。
(厄介だな。動けないように四肢を軽く燃やす必要があるかも)
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ヨッシー(プロフ) - プスメラさん» コメントありがとうございます!作品説明に書いてある通り、五条悟オチです。応援ありがとうございます。 (2021年2月15日 14時) (レス) id: 315b29eacb (このIDを非表示/違反報告)
プスメラ - ヨッシーさん、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年2月14日 23時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨッシー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/
作成日時:2020年12月23日 10時