検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:32,912 hit

束の間 ページ23

「今日の動画の編集はAちゃん?」

「Yap. Ich werde das machen.」
(えぇ そのつもりです)

「宜しく頼みますよ」



と言われてから3日経った。
今わたしは絶賛編集中である。自分が出演しているといつもは迷いのない作業も迷ってしまう。うーん、ここの私のコメントは蛇足じゃないか??蛇足だよなぁ。なんせ初めてなもんで、自信がねぇ。
編集がなかなか進まず、ブレンドコーヒーも3杯目である。ついにはマスターが茶菓子をおまけしてくれた。


「お嬢さん、パソコンとずっと睨めっこですねぇ」

「...なかなか納得いかなくて」

「こういうときは甘いものでも食べたらどうですか?」


優しい声とコトンという音に顔を上げると小さなココット容器に入った可愛らしいプディング。「これは試作品なのでお代はいりませんよ」と言われ、有り難くいただくことにした。
うん、美味しい。昔ながらっていうのかな?素朴な感じがとても好きだ。


「お!佐山じゃん。お疲れ様」

「伊沢氏。お疲れ様でございます」

「動画公開でしょ?明日。どう?編集は」

「めちゃくちゃ倒置法で喋りますね。動画は編集が行き詰まってます...」

「そっかそっか。撮影も盛り上がったし、企画もよかったんだから自信持って編集していっていいからな!」

「Tak...」

「ちょっと人と待ち合わせしてるんだけど、それまで相席しててもいい?」

「あぁ、いいですよ」

「マスター、ブレンドコーヒーください」


この前の撮影は伊沢ボスの言う通り、盛り上がったし楽しかった。企画の手応えもあった。それは私だけでなく、メンバーの皆もそう感じている。ただ、なんだか"自分がそこにいるもの"に違和感覚えてしまう。むず痒いというか、気色悪いというか、なんとも表現しがたい何かなのだ。


「…悩んでるなぁ」

「はい…決断力はある方だと思ってたんですけどね」

「佐山はあると思うよ」

「作品を仕上げることは難しいです」

「ハハッ、そんなもんさ」


伊沢氏のスマートフォンが卓上で振動を始めた。どうやら時間的にも待ち合わせ相手らしい。
「もう行くね。根を詰めすぎないように。じゃ」そう言って席を立つ彼に「お疲れ様です」と挨拶をしてまたパソコンへと向かい合った。



「さっきの彼、お会計してくれてるよ」

「...まじか」

「かっこいい子じゃないか」

「マスター、勘弁してください。彼は出来杉君にも程がありますよ」



グラスを拭く、キュッキュッという音が心地よかった。

迷走 迷想→←ハローエブリワン



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
114人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , QK , クイズノック
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:モスモス | 作成日時:2020年4月13日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。