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「お?Aちゃんじゃん!」
「ん?ナイスガイ?」
「良かった、今日はバッドガイって言われなかった」
リュックサックを背負ってやってくる長身男。
何ぞ。ときけば、居たから声かけたという。朝から爽やかだ。眩しい。
「眩しいです」
「何が」
「雰囲気?」
「え、それ褒められてる?」
「た、ぶん?」
今から彼は大学へ向かうらしい。そりゃそうだな。聞いておいて意味なかったわって思った。
途中まで一緒にとなったが。彼は赤門じゃない方なので行くといってもあと数分だけである。
まぁいいか、彼は嬉しそうだし。
「今日何時まで講義受けるの?」
「...16時15分までだったような気がする」
「オフィス行くよね?終わったら行こう!」
「いいよ。じゃあ早く終わった方が遅い方の門前ね」
「わかった!...ってAちゃんがこっち来たら遠くなるけどいいの?」
「Yes 言ってんじゃん」
「わかった!じゃ今日も1日頑張ってこう」
「Ok Have a nice day」
分かれてすぐに誰かに話しかけているあたり、須貝氏のコミュニケーション能力は尋常じゃないと思う。まじで分けて欲しい。こっちなんてなぁ、まだ大学きて出来てないんだぞ(クイズノックを除く)
切実に一度相談してみようかななんて考えていると、
「おーい!約束忘れんなよ!」と大声で言ってくるから、ジブリの作品みたいなことすんなと笑ってしまった。
無事に今日も講義終わりましたー。
私の方が早く終わったので弥生門の方へ向かう。
言い出しっぺが悪いが、これ遠いわ。
絶対、東京大学ってバチカン市国より広いわ。
確かトーキョーディズニーランドより小さいかったはず。東京大学、広いな。いや、バチカン市国が小さいのか?
あー、そういやバチカン市国行ったことないな。行ってみたいけど観光になるもんなぁ。どちらかといえばその隣国のイタリア土産の方が魅力的だし需要もある。
「なに?独り言?」
「Ой!」(わお!)
「え?びっくりさせた?ごめんごめん。なに考えてたの?」
「バチカン市国に思いを馳せていた」
「住んでたの?」
「全然。行ったことすらない」
「なんじゃそりゃ」
並んでどうでもいいことを話しながら歩く。
須貝氏は『超電導』を研究しているらしい。すげぇな、おい。もう私はその言葉すら教師の寝言で聞いたようなくらいの記憶でしか残ってない。
「超電導っていうのはね… ってことなんだよ 」
「すげえ」
「さっきからすげぇしか言ってないよ」
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作者名:モスモス | 作成日時:2020年4月13日 0時