【d!】物が擬人化して恋するなんて聞いたことないっ！

世界に一つだけの不人気ドール ページ29

シャイン、ミオン、シャオン
これは当時人気だった人形の正式名称。
ピンクがシャイン、緑がミオン、黄色のシャオン。

ピンクと緑は女の子のモデルで人気だった。
でも黄色は男の子モデルだった為、着せ替えがあまり出来なければかわいい服もない、俺から見ても不人気だった。

おもちゃ屋で棚を見る人はみんなこう言う、黄色しかないのかぁって。

それを聞く度に俺の価値はなんだろうって考えてた。
名前だって誰か1人に丁寧に付けられたわけじゃない。
製造した奴がつけて、愛もなくコピーされたものが俺の後ろに並ぶ。


なんで俺が一番最初に作られたんやろ。


気持ちなんて植え付けられずに、俺の後ろにいる無感情な奴らになりたかった。

1番目に製造され、愛されてしまった俺は無感情になる事が出来ない。
人間様はそれもわからず、物だから、感情はないって決めつけて生きてるんだろうなー。


今日も誰にも届かない愚痴を垂れて、変わらない景色を眺めた。

だけどそんなとある日、1人の少女が下に来て俺を見た。
その目は期待外れの目じゃなくて求めていた目。

輝いて心を射抜くような純粋な目に助けを求めた。




此処から＿＿＿＿＿＿









『お母さん！この子がいい！』









どうして不人気な俺が狭い箱から出れたのか正直分からない。

この子がどうして俺を選んだのかも。


『今日からわたしの子だから、.......シャオロン！』


ロンはロンドンのロンかららしい、ロンドン橋の歌で知ったロンドン。


意味こそ深くはないだろうけど、自身の知識を振り絞ってでもつけてくれた名前。
それが嬉しかった。

それだけでも嬉しかったのに、俺だけに向けた衣装まで貰った。



不人気だった俺は彼女だけの特別な人形になった。

今では俺と同じ顔も同じ見た目も、もうどこにもいない。







＿＿一番最初に作られてよかった。

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