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五条は固まった同級生にニヤけが止まらなかった。
それはもちろん、この状況を面白がっているからであるが、それ以上に、また再び会えたことが嬉しかったのだ。
八雲の死を聞いた時、今度こそ五条は上層部を蹴散らそうとした。
それでも、いざ動こうとすれば「なに、ダサいね」と楽しそうに笑う彼女が思い浮かんで、どうしても出来なかったのだ。
五条は知っていた。
八雲がこの腐った世界を変えたいと思っていたことを。
五条は知っていた。
八雲が、実力行使を好まないことを。
五条は、知っていたのだ。
八雲が自ら教壇に立ち、若く逞しい呪術師を育て、この世界を変えようとしていたことを。
ならば、と思った。
八雲に対する、一種の罪滅ぼしであった。
五条は、八雲の意志を継いで、彼らを育てていたのだ。
さて、どんな反応をするかなと待っていれば八雲は心底引いた顔をした。
「…ボク？え、きもちわる」
「は？」
「硝子、悟見てあげたら？」
「手遅れだよ」
「あらぁ…」
八雲も伊達に三人の同級生をやっていた訳では無い。
八雲の煽り方は、五条のようなダイレクトな物ではなく、夏油のような遠回しのような物でもなく、思わず口に出してしまったかのような一番精神的ダメージが大きい物であった。
口に手を当て、憐れんでるかのような八雲の仕草に家入も、夏油も笑うしか無かった。
煽られている。そのことに気付いた五条はクワッとその綺麗な眼を開いた。
「うっぜえなお前！俺が！この俺が！！Aの代わりに教師になって！育てたの！コイツらを！」
ズン、と携帯を八雲の目の前に出した。
暫く触れていなかったからか、もうその画面にイタドリと呼ばれた少年はいなかったが、八雲は嬉しそうに笑った。
「うん、ありがとう」
五条は素直な感謝の気持ちに弱かった。
今世の家族に、前世の記憶を持つ者は五条以外に見つけることは出来なかった。
けれど前世で、自分を傀儡のように思っていた家族を信頼することが出来るはずもなく。
五条はきちんと、前世の五条のように育っていった。
別に、とそっぽを向いた五条の耳は赤く染まっていて、尚更笑ってしまえば「おい」と睨まれてしまった。
「虎杖が成人済みってことは、年齢が逆転でもしてるのか？」
「そ。ちょっと探してみたんだけど、恵も野薔薇もヒーローやってる。ウケんね」
ヒーロー。
彼らはその存在をあまり良くは思えなかった。
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あお - 間の開け方とか言葉選びとかすごい良かったです！！ (2022年8月28日 20時) (
レス) @page18 id: c1da01ed72 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 呪術師側のイカれ具合とか、ヒーローに対する嫌悪とか、全て大好きです。 (2022年1月2日 15時) (レス) @page50 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
あかし - あくまで私個人の感想です。書き方やオチ希望してる方がいますがこれは作者様の作品です。書き方も展開も終わり方も全て作者様の自由です。私はこのままの作品が好きですし、作者様の自由にして下さい。言葉選び、文脈全てが大人で素敵です。これからも応援しています。 (2021年8月7日 14時) (レス) id: 9951821a6a (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年2月11日 11時
