行方不明・2 ～裏切りの砂人～【歌い手】 (ページ32)

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貴『43話……』ページ32

そらるさいど。

“ 彼方さん。”

彼女は、哀しそうな笑みを浮かべて俺のことをそう呼んだ。

“兄さん！”

そう呼んでくれた日々が、急に懐かしく感じる。

もう、そう呼んでくれないの……？

貴『今までありがとうございました。私のことはすぐに忘れてくださいね。あ、それとも……

私が記憶を壊して差し上げましょうか？』

“記憶を壊す”

それはつまり……

そ「お前の事を……忘れるって事？」

違うって言えよっ！

なんて祈りは届くわけもなく。

貴『そうですが何か？』

ま「やめろ！」

セ「うらたんも今のは謝らんといけませんよ」

う「わ……悪かった…」

貴『うらたさん、今更謝ってくれなくてもいいんですよ？では、さようなら。』

ばちぃ！

全－貴「「「「ゔぁあ！」」」」

そこからの記憶は……無い。

貴方さいど。

本当は、言いたくなかった。

“さようなら”

なんて……

でも、もう悔いはない。

とりあえず私に関するみんなの記憶は壊したから大丈夫。

何かをキッカケに思い出さないといいけど…

？「＿＿？＿＿＿＿＿」

何か声がしたような気がしたが、私はそのまま家を出た。

でもこの時、私はすっかり忘れていたんだ。

まさか、＿＿＿＿＿だなんて……

nqrseさいど。

n【ゲホッゴホッ】

l【オレは無事なんやけど…みんなは？】

詩【無事……ゲホッです。】

α【私は大丈夫だけど、クプラ(の頭)が……】

ク【ﾁ───(´-ω-｀)───ﾝ】

n【くそ……破壊神の存在を忘れていた…】

l【威力流石なんやけど】

なんとか傷だらけの体を引きずって穴から這い上がる。

くそ……奴ら、逃げおったな。

n【クソ！あの裏切り者めが！】

？「裏切り者？」

いきなりメンバー以外の声がして、声の主を探す。

声の主はあっさり見つかった。

貴『あー、先程は手荒な真似をしてすみませんでした……』

n【あー、Aちゃんか……】

l【あれ？Aやん！あいつらは？】

あいつら。すなわち、裏切り者達のことだろう。

すると、Aは少し顔を歪めたように見えたが、

すぐにいつもの顔に戻った。

気のせいか……？

貴『あぁ……あの人たちは家で寝てます。』

n【ぁ……そうか、】

よく裏切り者が呑気に昼寝できるもんだ。

貴『とりあえず、今日は言いたいことがあってきたんです。』

詩【何？】

“私を最終兵器として封印してください”

そう言った彼女の笑みは、哀しげで……

とても美しかった。