灰ゾーン・エージェンシー / 架空の第○○話「交差する思惑」2 ページ27
二人してその溢れる負のオーラに飲み込まれそうになり、咄嗟に言葉を発せないといった風に顔を見合わせて黙りこくっていると、面太郎さんは妙に疑り深い目つきを掲げた上でネチネチと嫌みっぽくさらに事を追求しようとする。本っ当に抜け目がない。
面「 いきなりなんですかその死人でも見たような目は。いては何か問題でも? さてはサボりに行こうとしていたとかじゃありませんよねぇ? 」
ゆ「 あっ! いえ、そんな事はないですから。少しびっくりしただけなので、どうぞお構いなく。何かご用でもありましたか? 」
どうしよう、とあっという間に欠如した足りない酸素をスゥ、と取り込みつつも考えていたら、その間にゆめまるが上手く誤魔化しを入れてくれていた。
その言葉を聞き終えた面太郎さんはなんだかずっと思い悩んだような顔をしていたけど、やがて「 まぁ、いいでしょう 」と持っていた書類を机に置いてからこちらへと向き直って丁重に格調高く、それでいて厳しい声で事情を語り出した。
面「 用といえば用でしょうかね。うちの、営業課の部長が、なぜかあなた方と会いたがっていたんですよ。わざわざ溜まっていた仕事を中断してまで、ね。案内はしますのでとっとと他の四人も連れて着いてきてください。……社長も"彼"を気に入っているので、くれぐれも不用意な発言はしないように 」
あのいかにも気難しそうな社長に気に入られている彼? 今はもういっぱしの会社員でしかない俺たちと会いたがっている? 告げられた何もかものパズルのピースが唐突すぎて、頭の中で綺麗に型にハマらない。
てっきり東海オンエアとして活動していた頃の俺たちのファンなのかとも思ったが、話を聞く限りそうでもないらしい。
嫌そうな様子の面太郎さんが言うには、そいつは最近入社してきた俺らの存在を知ってから、いちいち「 そいつらにしかできんことなんよ 」「 あいつらやから価値があんの 」とかのたまっていたとのことだ。
数々のチープな言動を連ねられただけで、まだ話で聞いただけのそいつに、絶世の美人を相手に一目惚れしたから一夜を過ごさせて、とでも迫るような。そんな限りなく節約した生ハム並みに薄っぺらい何かを感じた。
にしてもどこか、裏にひっそり宿った思惑をバレないよう性的な何かでコーティングしたみたいな、どこか覚えのある関西弁。俺の思い出の隅っこには、わずかにグレーの陰りが差している。
て「 まさか、な…… 」
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ああああああああああああああああああああ(プロフ) - 更新待ってます、、いつまでも、、 (6月21日 21時) (レス) id: e3dfa91469 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:干し星 | 作成日時:2021年8月4日 11時