ぎらぎら前髪自室旅行記 ページ22
朝靄の差し込み、その隙間を巧妙に垂れ下がるカーテンを開けて、壁にくくりつけてから来客からも見えるよう、自慢できるようにおきれいに飾ってあるかわいらしいメンバーのぬいぐるみのぷにぷにほっぺをつつく。
見てみればわかるが、個性がすさまじい。りょーちゃんのはいつも冗談めかして笑っているのに閉ざされた目に感情がこもらないところがそっくりだし、虫ちゃんのは食べてしまいたいぐらいの愛らしさを持ちつつも視線にかなりの毒があった。
ゆめちゃんのはかわいいを全面に押し出していても、どこかとってつけたような辛辣さがそこにあるし、としちゃんのはむっとしてるけれどつんとしたホオヅキみたいなあどけなさが滲んでいる。
ばゆちゃんのはたった一杯飲んだチューハイでふらついた時にも似た赤ら顔でそっと笑みをたたえていたてっちゃんのはなんやろ、憧れのセンパイじみたツラをしとる。
俺のは未だに買っていない。見てみたんやけど何の変哲もない笑い顔だったから、
みんな持ってるしそん時見せてもらえばいいかと思った。
そこからか。鬼ごっこで俺をチームに引き入れようとお砂場でみんながざわめいたことも、幼稚園で一番かっこいいと言われた俺も、また想い出と変わってしまったと思ったのは。
まあ成長すると平々凡々の有象無象でしかないので、小中校はさして目立つこともなく。すだれって金持ちって感じしないよなぁ、いや親しみやすいとかじゃなくて悪い意味で、
と同級生のガッカリを逆スポットライトのごとく浴び、過ごしてきたのだから。変に頼られたりとか、パシられたりとかしなかったのは運が良かったのかもしれへん。
けど俺はワガママやから、色白の清楚な幸薄い魅力だけでは我慢がきかなくて、あの色もこの色もほしいと求めまくった結果。寂しげに映える、なんもかんもが中途半端などぎつい黒にすら染まれない未熟な灰に落ち着いたのだ。
す「 はぁっ、ホンマに愛しとるわ 」
くるりとシュクメルリのように丸まり、小さくなれば長身もわからなくなる。男らしさを捨てたのなら怖いものを見なくてええ。大酒をかっくらえば、見たくないものもみんな輪郭が曖昧になってわからなくすることだってできる。
見くびられるのはまるで魔法のように素晴らしいことだ。チリ、と傷む髪の毛を雑に切り揃えた時なんかホレボレしてしまった。個性が簡単に生まれる。この前髪は俺の唯一の象徴だった。
【ファザコン・マザコン】あんさんの家のヤバイとこ教えてーや【片手でポン】→←【なんぼのもん】すだれを心から喜ばせてみたい!!ナニワ贈り物選手権!9
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ああああああああああああああああああああ(プロフ) - 更新待ってます、、いつまでも、、 (6月21日 21時) (レス) id: e3dfa91469 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:干し星 | 作成日時:2021年8月4日 11時