【学パロ】好きです。だけど、ごめんなさい。【d!】【zm】 (ページ12)

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屋上へ上がると、そこには見知った黄緑色。

こういうときに限って、彼がいる。

まぁ、会えるのは、嬉しいけど。

ｿﾞ「あ、A。遅かったやん。何かあったん？」

　『ううん、大丈夫。ちょっとクラスの
　女の子に頼まれ事してただけだよ』

ｿﾞ「頼まれ事？」

　『そう。これ、ゾムくんに渡してください、
　って。やっぱりモテる男はちがうね』

そう言って、さっき女の子から貰った
クッキーを渡す。

ゾムくんは無表情でそれをひょいと受け取り、
袋を開けて食べ始める。

知らない女の子のものを食べてる彼を見て、
私が作って渡してもたべてくれるかな、なんて
すこしだけ嫉妬する。

そんな自分の気持ち空気をなんとかしたくて、
口を開いた。

　『…そういえば、ゾムくん生徒会なんじゃ
　なかったの？』

ｿﾞ「あー…さぼってんねん。あそこおっても
　書類ぐらいしかやる事ないしな」

　『えぇ…大丈夫なの？』

ｿﾞ「大丈夫やろ。できてへんやつ全部
　トントンがやってくれるし」

　『トントン？さん大変そうだね…』

苦労人なんだな、なんて思っていると、
ゾムくんが急に立ち上がって、「やべ」と
屋上の階段の裏に隠れ始めた。

どうして隠れたのか聞こうとしたけど聞く間も
無く理由を知る。

突如として階段を登る音が聞こえて現れたのは
赤いマフラーを巻いた男の子。

眼鏡の下から見える隈を見て、あぁ、この人が
トントンさんなんだろうな、と思った。

そして、そのトントンさんと思しき男の子は
肩で息をしながら私の方を向いて、

ﾄﾝ「あの、すみません、生徒会の者
　なんですけどゾムこっち来てませんか…？」

と聞いてきた。

もちろん正直に階段の裏に隠れた、と答えると
ゾムくんがしぶしぶ
「だってAと話したかったし」
と言いながら出てきた。

その言葉でちょっと嬉しくなったのは秘密だ。

ゾムくんが私と話したかった、という言葉を
聞くと、トントンさんがやけくそになって言う。

ﾄﾝ「あーもう!!!じゃあAさんも
　連れてきていいから!!!」

　『…へ？』

その瞬間、ゾムくんの顔がぱあっと明るく
なって、私の手を引いて生徒会室へ走り出した。

仲の良い幼馴染みを持つと大変です…。