自由きままに考える小説の作り方。

【番外編】ひきつける小説 ページ30

■例え内容が面白くても……？

　さて、皆さん小説が最初に人をひきつける部分はなんだと思いますか？ 登場人物の素晴らしさ、物語の面白さ。確かに、どれも小説には欠かせません。しかし、先ほどあげたのはどれも違います。
　私は、最初に小説が人をひきつける部分と問いました。最初、です。
　登場人物や、物語は小説を読み進めていかなければ理解することはできません。それじゃあ、何が最初に人を惹き付けるのか。

　それは、恐らく序盤の文でしょう。本屋や図書館に行ったとき、気になった本を手にとり何をしますか？ 表紙買いする人もいらっしゃるとは思いますが、たいていの方が一番最初の文章を読むのではないでしょうか。つまり、この序盤で人をひきつけれるか否かが変わります。
　ネットの作品でもそれは同じです。

　ここは説明しにくいので先に実例で紹介していきます。

その１
　俺は、山田 太郎。いたって普通の高校一年生だ。そう、いたって普通の。
　ジリリリ。大きなベルの音が鳴り響く。耳を裂くようなその音に苛立ちを覚えながら、布団の中からなんとか目覚ましを探し当てようとする。しかし掴むのは宙ばかり。一体、昨夜の俺は目覚ましをどこに置いたというのだ。
　やっと探し当て、目覚ましのベルを止める……かと思えば眠気はどこかへ吹っ飛んでいた。布団から芋虫のように這い出て、頭をかきむしると大きく欠伸をする。ああ、嫌な夢を見た。嫌な、夢。そう彼女の夢だ。彼女が、死ぬ夢。



その２
彼女が死んだ。俺の目の前で。

「なんでこんなことになったんだろうね」

彼女は、そう言って笑っていた。そして、なんともないような顔で柵を超えると、こちらにその琥珀が混じった深い色の瞳を向ける。そして、消えた。
　ジリリリ。大きなベルの音が鳴り響く。耳を裂くようなその音に苛立ちを覚えながら、俺……山田 太郎はなんとか目覚まし時計を探し当てようとする……(以下略)


　同じ物語ですが、序盤の文のインパクトが違うと思います。どっちを、読んでみたいと思いますか？ 後方を選ぶ方が私はほとんどだと思います。
　こんな感じで説明をだらだら述べるより、インパクトの強い文を最初におくほうが読者様はひきつけられやすいです。

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