【自由への旅路】The Fateful Enncounter 1 【企画小説】 (ページ5)

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【柘榴】御影灯芽の場合ページ5

なんとか少女の意思が多少わかるようになって、質疑応答を繰り返すこと数時間。
そしてあることを少女に要求して、また数時間。

少女に要求している“あること”とはこれである。

「だからー、柘榴の一味入れって！」

少女はさっきから見せているのと同じページを開いたまま、嫌そうな表情を浮かべている。
ページに描かれているデフォルメされた少女――ヒガ、というのが名前らしい――は、ぶんぶんと首を振って胸の前でバッテン印を作っていた。

「えぇえー、はーいーれーよぉぉぉヒガァァァァァー」

ヒガにずいっと顔を近づけるとぐい、と押しのけられる。
拒否られている、とても拒否られている。
それを理解しながら、サンは引く気がなかった。

何故か？

まだ十歳ぐらいだろうと思うのに、絵を描くことは下手な大人の画家よりも上手く、なぜか一人で旅をしているらしいヒガに対する興味が七割と、言葉も碌に話せない上にほぼ文無し状態、その上若干世間知らずであるように見える少女、それも獣忌がこの先やっていけるのかという心配三割で。

十五歳、サンが独り立ちした年齢か、いやせめて言葉と常識を学ぶまで柘榴の一味に所属させた方がいいだろうと考えたからだ。

獣忌、ましてや獣忌殲滅部隊の存在すら知らないと聞いて、よく今まで無事に生きてこられたもんだと逆に感心してしまったぐらいには、ヒガには常識的な知識がない。

そこを補って言葉が多少話せるようにさえなれば、サバイバル技術はあるようだし何とかやって行けるだろう。

サンはヒガの耳元で喚く。

「なぁなぁなぁなぁあー、ヒーガァァー！」

そう言った途端、顔を盛大にしかめさせたヒガは、サンの頭をペシリと叩いた。

「でぇーっ！何すんだよ！んで入れっての！」

オーバーに頭を庇う仕草をして、懲りずに誘う。

そんなサンに対して、呆れかえったと言うような顔でため息をついたヒガは、スケッチブックに新たな絵を描きだした。

それを見て理解したところによると「きみが喋ってる言語を教えてくれて、尚且つ五年以内に扱えるようにしてくれたら、入るよ」だ、そうだ……おお！！

「マジで！？」

やっと譲歩の姿勢を見せてくれたヒガに確認すると、彼女はコックリとうなずいた。
頼まれなくともやろうとしていたことだ、全然問題ないどころかむしろ好都合な申し出に、サンは拳を天へ突き上げる。

「ぃよっしゃあー！やってやらぁー！」

やる気に燃えるサンを、ヒガは生温かい目で見守っていた。