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氷の女王7 ページ22

それはさておき。
「この時間は危ないぞ」
そう、か弱い女性が裏の人間がたむろしている場所で一人、というのは言うまでもなく、危ない。
ところが、歌手はなんでもないとでも言うかのような笑顔で大丈夫ですよ、と宣った。
「知っていますから」
……どうやらこの顔は裏の世界を覗き見たことがあるようだ。
ならば質問を躊躇うことはない。
「氷の女王とは大層な呼び名だな」
「あら、畏れ多いというか、恥ずかしいですわ」
やはり、昨日の男が言っていた「氷の女王」は彼女で正しいようだ。恥ずかしいとは言っているが、隠すつもりはないらしい。
「私は歌うことが好きです。でも、誰かのために歌うことより、自分のために歌うことが好きなんですの。ですから、そういうお誘いは袖であしらっておりまして。そうしたら、冷血な女とでも思われたのでしょうね。そんな名前がついてしまいました」

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作者名:九JACK | 作成日時:2019年10月25日 13時

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