ちぐはぐ【剣城京介】 (ページ4)

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■神童先輩

「相手の動きをよく見るんだ！」

　今、私がいるのはサッカー部の練習グラウンドだ。結局あの流れで見学するという形になった。監督の円堂さんに許可をもらい、部長である神童先輩に挨拶をした。空野さんは罪悪感からか、他の部活の見学も付き合うと言ってくれが、それでは空野さんが部活に参加出来なくってしまうため、やんわり断っておいた。

　話は変わるが、私は運動が嫌いというわけではないが、好きといえる程でもなく、何かしらのスポーツに興味を持つわけでもない。上手だな、と思ってもそれ以上に胸が熱くなるような感性を持ち合わせていなかった。だからこそ、今私がこの場にいるのは場違いな気がしてならないし、見学されている側も興味無さそうにされても困るだけではないかと、何かと帰宅理由を考えていた。

「どうだ、サッカー部は？」

　どうやら休憩時間に入っていたらしく、そう話しかけてきたのは神童先輩だった。見学しているだけなのだから、無視しても構わないだろうにわざわざ声を掛けてきてくれたのはその律儀な性格からか。

「お疲れ様です。
　…すいません、上手とか凄いなとは思うんですけど」

　さすがに興味がありませんとは言えず、続きを濁した。神童先輩はそれを察したのか「そうか。まあ自分の好きなことをするのが1番だ。」とフォローしてくれ、空野が半ば強制的に連れてきたみたいだしな、と付け加えた。この人がこの強豪サッカー部の部長の理由がなんとなく分かった気がした。

「転校したてで緊張しているだろうが、雷門には良い奴が多いからすぐに馴染めるさ。
　何か困ったことがあれば言ってくれ、できる限り力になるよ。」

　俺が頼りづらいなら霧野でも構わないぞ。あの容姿だし女子からしたら比較的話しやすいかもしれない、と笑いながら言った。どうやら緊張をほぐそうとしてくれているようだ。練習風景をみていた限り、霧野先輩はピンク色の髪をお下げをしており、確かに容姿だけなら女子そのものだった。

「サッカー部も良い人そうですね。」

「ありがとう。正直見た目が怖くて話しかけづらそうな奴もいるが、良い奴だってことは話せば分かるよ。倉間と剣城は特にそうだな。」

「呼んだか？」

　そう会話に参加したのは、褐色肌に水色の髪をもった倉間先輩だった。

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