Chapter3 『おれのたんじょうび』 ページ4
翌朝。
押し入れの隙間から光が僅かに入ってくる。
まだふわふわとした頭のママ目が覚め、体を起き上がらせる。
『え…』
思わず呟いたがそりゃあ驚く。
なぜなら
『からだが…いたくない…？』
昨日刺されて激痛が走ったところや、殴られ続けて折れたであろう腕も痛くなかった。
少し変だな、と思いつつも誕生日ということが嬉しくてすぐに忘れてしまった。
早く母さんが来てくれないかな、と思いながら押し入れの中で待つ。
母さんはいつも押し入れから出す時は来てくれる。
前、勝手に出たら失神するまで叩かれてもうたから気をつけなあかんのや。
『はやく…母さんこないかなぁ…！』
今日はいつもより待ってる時間が長いように感じた。
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ｶﾞﾗｶﾞﾗ
母「影斗。おはよう」
どのくらい経ったんだろうか。
何時間にも数分にも思えるような時間。
『おん！母さんおはよぉ！』
母「というか…怪我は…？」
『んとな、なんか直ってたん！』
母「まさか…個性？(ﾎﾞｿｯ」
『どうしたん？母さん』
母「ううん。なんでもないわ。早く来なさい」
そう言われて押し入れから出ようと動いた時左手に巻いていた包帯が少し外れる。
そして指が触れたところが突然、黒い影に飲まれ消えた。
母「『え』」
母さんも驚いていたが一番驚いていたのは俺だ。
その消えた部分を見た時、自分の腕も真っ黒い影だったからや。
『え？え？』
わけも分からず混乱している俺に母さんが話しかける
母「個性…がついに発現したのね！あぁ、はやく！はやく辰巳さんに知らせきゃ！！！！」
母さんはいつにもまして嬉しそうやった。
その様子を見てなんだか俺も嬉しくなる。
『(たんじょうびやからかな…！うれしいなぁ…！)』
その後、すぐに父さんが来てくれた。
さっき、黒い手で触ったとこが消えたから最初みたいに母さんに包帯を巻いてもらった。
これで触れるかな…。
父「八鹿！！影斗の個性が出たって本当か！」
母「えぇ！！本当よ！辰巳さんの言うとおりね！」
2人は今まで見たこと無いような表情でとっても嬉しそうに話してた。
父「予想通りで良かった。それじゃあ影斗、病院に行こうか」
『え？なんでぇ？』
父「お医者さんに影斗の個性を見てもらうためさ。さぁ、行こう」
『う…うん。』
少し怖いなって思ったけど、父さんの圧にまけて不審ながらも行くことになった。
【異常なほどの笑顔はなに？】
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