No.6:* ページ6
会わせるわけがないだろうが。
飄々とした童磨を鋭く睨んだ。
そう言って、当然のように食べるのでしょう?
聖人のような顔をして、「救ってあげる」とずるい言葉を吐いて騙して殺すのでしょう?罪悪感もなしに。
貴方に騙された人間は、今までに多く見てきた。
『…やめて。彼に手を出さないで。近づいたら許さないから』
苛立って睨み付けると、童磨はまるで恍惚したようなうっとりした顔になる。
「美人に睨まれるなんて最高だね」
『変態』
突き放されて喜ぶなんてこの男は変態だ。
「俺は優しいからAちゃんの嫌がることはしないぜ?それに、その子よりAちゃんの方がよっぽど興味がある」
そう言って童磨はにっこり笑い、私の顔に手を添え、顎を軽く引く。
本当は、何にも興味なんかないくせに。
私のことにも。
仮に私が死んでも、彼は変わらず悪びれもなく女を食べ続けると思う。
添えられた手を払い除けて、別の話を切り出す。
『無惨様は?』
「もうすぐお帰りになられるよ。もう少し帰って来るのが遅かったら危なかったんだぜ?」
『…気をつけます』
何故私が十二鬼月の鬼と接しているのか。
上弦の鬼である童磨が私に協力してくれているからだ。
私が善逸くんに会うための。
具体的に言えば、無惨様に軟禁されている私が善逸くんに会いに無限城を離れることを童磨は黙認してくれている。
もしもの事があっても口数を合わせてくれる。
無惨様に此処に連れてこられてすぐに、外に行ってみるといい、と提案したのも彼だ。
協力してくれる意味は特にない。
私の行動を無惨様に告げ口していると考えれば行動の意味に理解できるが、童磨は笑って否定する。
そんなことは有り得ないと。
そもそも自分は無惨様に信用されておらず、言葉も聞いて貰えないと。
それに、無惨様に私を監視するように命令されているから、私が秘密裏に鬼殺隊員に会っている事がバレると、責任は全て命令を果たさなかった自分にあり、処罰を受けることになるだろうと。
理解できない行動だが、私は彼を信じることにした。
珍しくその時の彼の目に嘘は見えなかったからだ。
…協力してくれる意味は未だに分からないけど。
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作成日時:2020年1月23日 15時