同 担 拒 否 ガ チ 恋【まふまふ】

21. ページ22

「……」
なにかを考え込むように手を口元にあてて真剣な顔をしているそらるさんと、軽い溜め息をついて目線をそらす まふくん




あ、やっちゃったなと、素直に そう思った




2人が活動していく上で何よりも気にしなくてはいけないもの

それはアンチでも売り上げでもなく、《炎上》だとわたしは思っている
たとえ事実じゃなくても炎上をしてしまうことだってありえる


例えば、一般人のファンにMVに出演してもらったなんて、それがバレたら本人達に全くその気がなくてもなにか関係があるんじゃないかと勘ぐられてしまうはず




わたしはふたりが念入りにしていたファンとの線引きを無理やり飛び越えてしまった

ファンだって自白までして


なにやってるんだろう、わたし


わたしに出来たことは、たった今おふたりを知ったように振舞ってMVに出たことは墓場まで持っていくことだったなあ

折角顔が映らないようにしてもらったのに


じゃあ取り返しがつかない今、わたしにできることは？

それはーー


「あ…の！わたし、このことは絶対に誰にも言いません
おふたりに会ったことも、MVに出たことも！
だからっ！」

だから信じてください、そう言いかけて止めた



ああ、わたし当たり前のことしか言えないな

たとえリスナーじゃなくても守って当然のことしか言ってない



どうすれば…どうすればおふたりに信用してもらえる、？
絶対に秘密にするってことを伝えたいのに上手く言葉が出てこない


「うん、そうしてくれるとありがたいんだけど」
普段より格別 低く硬く聞こえるそらるさんの声はわたしが緊張しているせいだけではないだろう

22.→←20.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す