着信 ページ10
渡辺くんが当たり前のことを言った。
高校生の時にも思ったけど、渡辺くんって素直だよね、
ストレートというか。
思ったことをそのまま文字にするというか。
「んー？」
「ふはは！伝わってる？」
「うーん…」
ふはは！とクシャッと笑った。
それに釣られて耐えきれず私も笑う。
「さっきのシーンで最後ソファに座ってたじゃん、今みたいに」
「…ああ、そうだね」
そう言われて熱が上がる感覚になった。
「あのシーン見て、横に座る柿崎さんを思い出してー」
「うん」
「で、今また横に座ってて」
「うん」
「秘密基地で見てた横顔といま見る横顔、違うんだね」
「え？」
「ん？待てよ」
「…ん？」
「秘密基地での横顔は俺しか知らないってことか！」
「は！」
何言ってんのこの人は。
なんか満足げにしてるし。
なんだか横顔を見せるのが恥ずかしくなってきて
思わず渡辺くんの方を見る。
「…前は可愛らしさがあったけど、今は綺麗だね」
また、急でストレートな…。
瞳の奥まで見透かされているような、そんな感覚になる。
「何言って…」
「って今も可愛いけどね」
渡辺くんがニコッと微笑んだ。
…答えなさい。これでトキメかない人はいますか。
いいえ、いません。
って事で私の心がトキメキを感じている。
久しぶりの感覚すぎて一瞬わからなかった。
「…はは、直球だね」
「うん、ごめん」
「いや…ありがとう」
「あの…」
「うん」
「実は俺…」
覚悟したような顔つきと不安そうな眉毛になる渡辺くん。
渡辺くんの言葉を待つ。
けどこのまま見つめ合っているのがどれぐらい持つのか。
私が。
渡辺くんの瞳に吸い込まれそう。
瞬きはして良いのかな。
さっきのイチャイチャキスシーンでは感じなかった気持ちが芽生えそう。
今ただ会話してるだけなのに？
胸がトクンと動いた気がした。
待って。忘れて。違う。
動くな。違う！
「えっと、実は俺」
やっとまた言葉を発した渡辺くん。
その時、私のスマホが震えて音楽が流れ始めた。
「…え？」
「あ！ごめん！電話！」
急いで画面を見ると『マネージャー』と書いてある。
忘れてた…。
私マネージャーからの連絡待ちなんだった。
「…ごめん、マネージャーからだ」
「ん、大丈夫だよ」
立ち上がり、もう一度渡辺くんに、
ごめん！とジェスチャーしたら、
いいよいいよ！ってしてくれたのでそのまま電話に出た。
今局に着いたから挨拶回り後、楽屋に来るという電話だった。
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おでん(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただき嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年3月4日 7時) (
レス) id: 0eda0cdbe1 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - おでんはんはじめまして！このお話本当に大好きです！今までにないテイストで今後も更新楽しみにしてます(^^) (2021年3月2日 20時) (レス) id: 7b49f138be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おでん | 作成日時：2021年2月20日 21時
