風の通る公園 ページ39
公園のベンチに座っていたら息を切らした渡辺くんがやってきた。
マスクしてるけど流石に顎らへんにずらしてる。
「…ごめん、待たせた」
「大丈夫だよ！ごめんね、急がせた」
「いやいや、俺が勝手に早く来たかっただけだから…」
早く来たかった、その言葉に頬が火照る。
「…こんなところに公園あったんだ」
「ね。たまたま歩いてたら見つけた」
「道2つずれたら人通りの多いところなのにね。全然人いないし」
「…うん」
「あ、てかこんな遅くに人いないところで待たせてごめんね！怖かったよね」
「大丈夫だよ」
二人でベンチに座る。
外で2人きりって大丈夫かな。
でも誰もいないし。ちょっとくらいはいいかな。
「…」
「…」
お互いなにも話さない。だけど心地いい。
ただ風の音が聞こえる。
少しだけ身震いする。
それに気付いた渡辺くんがジャケットを脱いで私の肩にかけた。
「え！大丈夫だよ！」
「寒そう。震えてる」
「渡辺くんの方が寒そうだよ」
「俺は今走ってきたし、暑いから持っておいて！」
「…ありがとう」
長袖だけど厚着はしてなさそうなのに。
渡辺くん華奢なのに、ジャケットは少しだけ大きくて、キュンとした。
優しさとトキメキで心はすでに温かい。
「…さっきはごめん」
「…ん？」
「関西弁に弱いの？とか」
「ああ…」
「涼太に怒られた」
「女性にあの言い方はどうなの？って」
「あはは…ジェントルだね」
「…」
また静寂が訪れる。
渡辺くん寒そう。汗かいたら冷えるもんね。
どこか移動したほうがいいかな。
「俺さ、嫉妬したの」
「…え？」
嫉妬？何が！
「柿崎さん、高校の時梶間と仲良かったし、今は康二とも仲良くって、2人の共通点はイジられキャラと関西弁かなーって」
「…うん」
「だから、関西弁が好きなのかなーと…。何も考えずにそのまま思っちゃって」
「…」
「…だから俺は言わないし…違うな…みたいな…」
「…うん」
「柿崎さんの好みと違うなら俺なんか一生友達なのかーと思って悔しくてつい、冷たい感じになっちゃった」
「…え」
「ごめんね」
それって。
渡辺くんどういう意味で言ってるの？
そんなこと言われたら誰だって期待しちゃう。
渡辺くんも同じ気持ちなのかな、って思っちゃうよ。
渡辺くんの顔をチラッと見る。
真剣だけど少し苦しそうな顔をしてて、
でも真っ直ぐな瞳に吸い込まれそう。
目が逸らせない。
渡辺くんが遠慮気味に私の手を握ってきた。
ドキンと胸が弾く。
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おでん(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただき嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年3月4日 7時) (
レス) id: 0eda0cdbe1 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - おでんはんはじめまして！このお話本当に大好きです！今までにないテイストで今後も更新楽しみにしてます(^^) (2021年3月2日 20時) (レス) id: 7b49f138be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おでん | 作成日時：2021年2月20日 21時
