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「なつさん、左助くんという男の子、ご存知ですか?」
「左助くん…左助くん…ああ、もしかして高坂のお家の!」
「そうです、高坂家の長男の左助くんです。」
「もちろん知ってるわよ。あの子、月輪隊の家の子なんだけど雑渡様が大好きだって有名だもの。」
月輪隊の家の子だから、今までなかなか会えなかったんだわ
里は、今お義父さまが住んでいる家屋を中心に家々が広がっている。
きっちりと決められているわけではないけれど、狼隊、月輪隊、隼隊、黒鷲隊の家は大体固まって存在している。
狼隊の家々はお義父さまの家から見て南の方にあり、月輪隊の家々は北の方にある。
だから、狼隊の奥様たちもあまり月輪隊の奥様たちとは関わりがない。
「Aちゃん、こっちよ。」
なつさんに手招きされて、慌てて駆け寄る。
「ここから里の外に出るの。この紐に引っかからないように気をつけてね。」
なつさんがおおい茂った蔦をかき分けると、目の前に大きな洞窟が表れた。
奥からわずかに光が差し込んでいるのが分かる。
紐は足首あたりにあって、跨ぐことは子供でも難しくないだろうけれど、うっかりすると踏みそうな位置にある。
「この洞窟を抜けると山の中なんだけど、そこからまた歩くと町が見えてくるの。この紐は里の子どもたちが仕掛けた、里に侵入者が入ってきたときの捕縛用の罠だから気をつけてね。」
「はい。」
紐をそっと跨いで洞窟の先を目指す。
しばらく歩くと、急に目の前が明るくなり、視界がひらけた。
「まあ、里って思った以上に山の中にあるんですねえ…!」
「そりゃあ、忍の隠れ里だしねえ。」
ここからもう少し歩かねば、町にはつかないそうだ。
ひたすら山道を歩き続けると、ちらほらと家が見えてきた。
さらに家々のある方へ歩くと、次第に人が多くなり、お店も増えてきた。
「ここが町の中心。ほら、八百屋さんもお魚屋さんもたくさんあるでしょう。」
「すごいわあ…ここ、随分大きな町なんですね。」
「そうねえ、タソガレドキ領の中でも大きな方だと思うわよ。…あっAちゃん、あそこの八百屋さん寄っていきましょ!」
なつさんにグイグイ引っ張られて、なつさん御用達の八百屋さんとお魚屋さんに連れて行ってもらった。
「わあ、新鮮なお魚ね。これ4匹くださる?あと、これも。」
「…お嬢ちゃん美人だねえ!!こんな美人、見たことねえよ!」
「あらまあお上手」
「やだAちゃん、冗談だと思ってるでしょ。ほんとよ、ほんと。」
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時