【派生作品】Sehnsucht【ロールプレイングゲーム】 (ページ5)

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Rouge ページ5

「……んっ……」

眩しい朝日に目をこする。
部屋の持ち主は不機嫌そうに声をもらした。

アッシュブロンドのサラサラとした髪が白い枕に絵を描く。
女はゆっくりと意識を覚醒させた。

「……」

ノソノソと起き上がり一つ欠伸。
ああ、なんだかとってもくだらない。

さて、彼女は一通りの朝のケアを施し、化粧を始める。

化粧といっても失礼にならない程度に薄いもの。
茜色の紅だけは必ずつけるが。

さて、化粧のすんだ彼女は自室からリビングへと降りる。

「お父さん。おはよう」

静かなリビングに、彼女のソプラノの音が響く。彼女は食卓で新聞を読む父親に声をかけのだ。

父親はこちらを見上げ、優しく笑った。

「おはよう茜」

父親は笑うと顔がクシャッとなる。誰もを安心させるそんな笑みだ。

父のことを尊敬しなかったことはない。
いつもいつもいい人で、聡明で、悪など知らない。

だけど、同じ道を歩みたいと思ったことは一度だってない。

軽く朝食を取り、彼女、然条茜は家を出る。

「いってきます。お父さん」

「ああ。いってらっしゃい」

ドアの閉まる前、優しげに笑う父を見た。

「……はァ」

茜はため息をこぼした。