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「とりあえず、このガム取ってくれない?」
Aの呼吸が戻ってきた。指差せないから、ボクの顔の前に両腕を突き出して「早く」と催促してくる。が、ボクの目は別のものに釘付けになっていた。
ハンター試験やヨークシンで会った時は、彼女は緩い衣服に身を包んでいた。ゲームで再会した時、なぜキャミソールに超短パンという肌を晒す格好になっていたのかとボクは不思議に思ったものだ。
そして、信じてもいない神に感謝した。
Aの腕で寄せられて盛り上がっているもの。背中から下半身へ、僅かに電流が走る。自分の口角は自然と吊り上がった。
勝負はついた。涼しげな顔のヒソカを砂浜に撃ち倒したところまでは良かったのだが。ヒソカは私の顔に付いた砂を払ったりと、優しげだ。
「とりあえず、このガム取ってくれない?」
くっ付いた腕を顔の前に突き出して、早く、とつけくわえた。そこまではよかった。ヒソカは再び細い目を見開いて、それから無気味なほどの笑顔を浮かべた。
危険を察知するより速く、腹筋で体を起こしたヒソカに抱きこまれた。左足は地面についたままだが、右足をヒソカの肩に掛けたような体勢になる。
「あァ……♡」
耳許でヒソカが息を漏らした。
「ひっ」
ゾクリと背筋が泡立った。恐怖に似た何かが喉をせり上がってくるのを我慢して、力が抜けそうな全身を叱咤する。
右膝で顔を蹴りたくても、うまく力が入らない。無様にもがいているだけだ。
「ダメダメ、A♧そんな美味しそうなものを見せちゃ♢」
低く囁かれる。美味しそうって、何。頭がパニックを起こす。
「ヒソカ、あなたは、何を言っているの」
ヒソカの両腕が背中に回った。恐怖が身体中を駆け巡る。
「キミ、とぉっても美味しそう……♡」
食べちゃいたいなぁ、という言葉とともに首に生暖かい息を感じた。と同時に、頭の隅で理解を拒否していたあることに気がついた。
___________こいつ、起ってる。
無我夢中で体を捻り、拘束されたままの両手で横っ面を張り飛ばした。力が緩んだ隙に飛び退いて距離を取る。
何、何なの。背に残るじわじわとした震えは、恐怖とはまた違った。
私に殴られた顔を片手で覆って、彼もゆっくり立ち上がった。
「クク、今日はここまでにしよう♤」
顔を上げたヒソカが私を指差すと、ガムは解除された。海とは反対の、森の方へ歩いていくヒソカ。
「さて、ボクは自分を鎮めてくるよ♡」
「その報告は求めてないッッ!!!!」
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Ash(プロフ) - かなめさん» かなめさん、こんにちは。更新遅くなってすみません。ヒソカ推しの同志がいてくれて嬉しいです。 (2020年3月19日 11時) (レス) id: 15c859a546 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ(プロフ) - 更新お疲れ様です!ヒソカ推しなのでかっこいい姿が沢山あって嬉しいです (2020年3月16日 12時) (レス) id: 70bd3babc7 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - スーパーヒソカタイムめっちゃ笑いました!!更新がんばって下さい! (2018年3月10日 21時) (レス) id: 2984f0eef0 (このIDを非表示/違反報告)
鉄子(プロフ) - キングダムっぽい技ですねwトーンタンタンは技の掛け声として最高です!w楽しく読まさせていただいています!がんばってください! (2017年11月24日 22時) (レス) id: a0856aab8c (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - 待ってますね!頑張ってください! (2017年11月22日 18時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)
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