53.込み上げる怒り ページ13
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目の前の光景に一瞬理解が出来なかった。
時透君の体に刺さった何羽もの鶴。時透君から流れ出る血液。彼が口から血を吐き出して地面に倒れた瞬間、今の現状を理解した。
時透君が、私を庇ってくれた。
「時透君!なんでっ」
「分かんない。なんで君なんか庇ったんだろうね」
「どうしよ、どうしよう!」
今の私の顔は時透君にどう見えているのだろう。
私が受ける筈だった攻撃を時透君に受けさせてしまった。時透君が死んだらどうしよう。そんな不安が私の顔を歪ませる。
全身の血の気が引いていくのが分かる。心臓が人生で一番ドクドク音を立てて鳴る。時透君の痛々しい傷を見たら目から涙が溢れそうだ。
「瓦礫から抜け出したんですね。それでも彼の傷は軽症では無かったはず、それでも彼女を庇うとは素晴らしい。まあもう虫の息ですが」
「糸目鬼・・・!!」
「なんでしょうか?」
怒りに任せて発言すれば、糸目鬼は済んだ顔で受け答える。その清々しい顔に怒りが倍増した。
いや違う。
私が怒っているのは自分自身だ。時透君のこと守るからねなんて言っておいて守られてるじゃん。チートだからと気を抜いてこのザマじゃないか。この状況は私の安易な考えの所為だ。自分自身に一番怒りが込み上げて来る。
「意識を保つのも辛いでしょうに。ほら!」
「ぐっ・・・!」
時透君の腹部に蹴りをいれる糸目鬼。
時透君は再び血反吐を地面へと吐いた。
「ねぇ」
「?」
「時透君から足を退けろ」
「・・・ッ!」
糸目鬼の足を切り落とす勢いで刀を振れば、反射神経が良いのか一歩後へ引いた糸目鬼。
今の私の顔、きっと般若みたいだ。
「本領発揮ですか。どうせ私には敵わないですよ?言った筈だ。君の欠点は実践不足」
「うーん、どうだろうね?」
「本当そういう反抗的な態度が
「顔がいいいいいだけ!?」
なに顔が良いだけの女って。否定はしないけど他人に言われるとなんかムカつくの分かるか。
いいよプラスに捉える。ありがとうね!顔褒めてくれて!!
「それに何故君が私よりこの男が良いと言うかが分かりません。この男柱でしょう?ちっぽけでからっぽなこの男より私の方が良いのに。君も見る目が無い」
「・・・は?」
人をイラつかせる天才か。このやろー。
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うえ - んぎゃ..鬼にまで好かれるとか最高すぎんか..待ってます!! (1月5日 9時) (レス) @page36 id: 9aa429e4c8 (このIDを非表示/違反報告)
さめしゃち?(プロフ) - あっ好きです(急)結婚しましょu(((((( すみません取り乱してしまいました^ ^めっちゃにやにやしちゃいましたww更新待ってます!!!! (5月7日 21時) (レス) @page36 id: 94eab444ed (このIDを非表示/違反報告)
Komachi(プロフ) - ふづきさん» あ、へ?え!?なんか褒められました!?あざさです!(?)めっちゃ嬉しいです!(なんのことかよくわかっていない件について) (2022年3月6日 1時) (レス) id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
ふづき - Koma?♂さん» がちでおもしろすぎるww文書く才能ありすぎです (2022年3月6日 0時) (レス) @page36 id: 3d9c5132e5 (このIDを非表示/違反報告)
Koma?♂(プロフ) - ぁぁダァダダァぁ!好きです!もうこういうのをまとめてました!更新頑張ってください!応援してますぅ (2021年11月3日 22時) (レス) @page36 id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むにゃねこ44 | 作成日時:2019年8月13日 2時