3話 ページ5
《倉持視点》
「倉持くんが好きです、私と付き合ってください…!」
「………え?」
昼休みの校舎裏。
俺は亮さんに聞かれたらまず間違いなく脳天にチョップを決められるくらいに情けない声を出した。
つきあう。すき。俺のことが。
「えっと………それ、俺で合ってる?」
「う、うん、倉持くんが好きです」
目の前の女の子は大きな目で俺を見上げる。
不安でその大きな目には涙が滲んで、頬は赤く染まっている。
半袖のシャツや少し短くしたスカートから覗く手足は日焼けを知らないように白く、そして細い。
髪の毛は胸辺りまでの黒髪で、ツヤツヤしてて、きれいに内側に巻かれている。
身長170cmそこそこしかない俺と並んでも頭一つ分小さいということは、身長は150cmくらいだろうか。
一言で言うと、めちゃくちゃ可愛い。
話したこともないし名前も知らないけど、ドストライクだった。
「えっと………やっぱりダメ、かな…」
ハッと気がつくと目の前の女の子は泣きそうになっていた。
俺は考え込んで返事をするのを忘れていたらしい。
「全然ダメじゃねえけど!!その、練習のオフとか少ねぇからあんまり時間取れねぇかも…」
「大丈夫だよ、私、倉持くんが野球してるの見て好きになったから」
ふふ、と柔らかく微笑む目の前の女の子を見て俺の心臓は単純にも跳ね上がった。
だって、日頃一番関わりのある女子のうちのマネージャーにこんなタイプの女子はいねぇから。
野球してる俺を見て好きになった、か。
そんなこと言われてみてぇと思ってたことが急に現実になってふわふわとした気持ちでいっぱいだ。
「じゃあ、その、俺で良ければ…」
「ほ、本当……?!嬉しい……!」
ぱあ、と花が咲くように満面の笑みを浮かべる女の子。もとい、俺の彼女。可愛い。めちゃくちゃ可愛い。
そんな俺の彼女の名前は、内村もえ。
吹奏楽部で、クラリネットっていう楽器をやっているらしい。
野球には詳しくないが、野球応援に来てくれた時に試合中の俺を見て好きになってくれたそうだった。
俺、野球やっててよかった。
それから毎日昼飯を一緒に食う約束をしたところで午後の授業開始の予鈴が鳴り、彼女とは別れた。
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マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです 丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年8月15日 17時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロニ | 作成日時:2020年7月24日 12時