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拾ノ炎【父】 ページ12

部屋に入ればいつもの様に横になっている父

いつもと何も変わらないはずなのに、今日は少し悲しみの雰囲気がした





『父上、お話があります』

父は私を貶してこない、暴力もふるわない
ただ無視を繰り返し、私に関わってこないようにする


だから今も案の定呼びかけても返事もないし、振り返りもしない






『…昨日(さくじつ)より炎柱に就任致しました』


ぴくっ、父のと肩が揺れた

しかし話すのを止めず続ける





『兄の意志を功績を私自身が繋げていきます

大した剣士にはなれないと思いますが、他人の命を守れる程度には役に立てると思っております』


その言葉を私は父に背中を見つめて言った

この言葉が届くように







父も優秀で、立派な剣士だった

私は父が酒に溺れたことを否定しない、父はとても熱心な人だったからこそ絶望と失望の反動が凄かった

ただそれだけ









『伝えたいことはそれだけです
…そして、聞きたいことがあります

どうして、父上は私を避けるのですか?
あ、父上が言ってくれるまでまとわりつきますから』



すると、ゆら…と父が背を起こした

ちらっとこちらを見ると、父の瞳が私をとらえる




父と向かい合うと、少し怖いし緊張する
少しボサついた髪、伸びた髭

しかし元から整った顔だから、それさえもカバーしている





愼寿郎「……お前を見ていると悲しくなる」


『…え?(…悲しくなる?)』


意味が分からなかった、父と言っている意味も
何を考えているのかも









私がきょとんとしているのを見て、はぁ…と深いため息が吐かれる

そして庭の方に向いてしまった



『あ、父上それどいうこ「A、お前は髪以外は母親似だ」』


私の言葉を父が遮る

確かに私は母に似ている、絶対父親にではない




愼寿郎「瑠火に似ているんだ、顔も
だから…お前を見ていると最愛の妻の顔がちらつく

…それだけだ、もう出ていけ


そして剣士もやめてしまえ、他人の命を救えても自分が死ねば意味がない」








そう言い放つ父の背中は何故か、悲しそうで小さく見えた

父は今もずっと母のことを悲しんでいて
私を避けていたのは、私が母上に似ていて妻の死を思い出すから

そして今も私に、心配の言葉をかけてくれている(?)








背中が訴えている、これ以上大切なものを失いたくないと

背中が訴えている、もう人の死を見たくないと





気づけばもう遅い

足を踏み出し、父の背中に抱きついていた


『父上っ』

拾壱ノ炎【父】→←玖ノ炎



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 炎柱   
作品ジャンル:アニメ
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烏璃(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております。本当に面白かったので今後も応援しています。番外編も小説になったのなら是非読ませていただきたいなと思う内容でした。楽しみに待っています。頑張ってください。 (2019年11月12日 22時) (レス) id: f27bf2df20 (このIDを非表示/違反報告)
為人(プロフ) - ありがとうございます!!!語彙力フル活動で頑張ります!! (2019年11月11日 19時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ3。(プロフ) - わぁぁ!!好きです!! こういう作品大好きなんです!!応援してます!! (2019年11月11日 17時) (レス) id: 57e27a7918 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:為人 x他1人 | 作成日時:2019年10月27日 19時

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