虎の少年は死神と呼ばれた少女と出逢う

4.彼女が求めるのは ページ5

僕の中で唐突にある作戦が思いついた

確かにもし、この考えが当たっていたらこの作戦は有効だ...けど...



敦(チャンスは一度きり。
失敗出来ない...それでも！)


僕はもう一度彼女の方を見る

集中しろ...

相手の動きをよく見るんだ...！



すると彼女は此方に目を合わせると同時に動いた



ガシッ...！

彼女が僕の間合いに入ったと同時に手首を摑んだ

僕の腹部にはレイピアが刺さっている



『なっ！...っは、離せ...！』


敦「離さない...離すもんか...！」



自信の腹に刺さったレイピアを摑み、彼女を逃げられないようにする



『いい加減離してください！私の負けです！
...もう、殺してください。』

彼女の目から涙が溢れ出るのを見た


僕はすっ、と息を吸い込む


敦「本当の...
本当の君は一体どっちなんだ！！」


『な、何を言って...』


敦「君は一人称がころころ変わってるんだ！
僕って言ったり、私って言ったりしてる！」


そう。

彼女と最初会ったとき、彼女は“私”と云っていたが、戦い始めてから彼女の一人称は“僕”になっていたのだ



『何が言いたいんですか...

何も、何も知らないくせに！！
私には守る者も守ってくれる者もいないのに！』


彼女はレイピアを一層強く握る

血が更に流れ出すのが分かる



敦「だったら僕が君を守る！
僕を信じてくれ！」



『うるさい、うるさいっ！
皆そうやって私を騙してきた！
だったらもう...

人となんか関わらない方が...。』



瞬間。

彼女はその場で膝をつき、泣き崩れた

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