シスコン☆ドクター。３〈橙〉

story101 ページ12

隆平side




隆「…んっ…………」


(……あれ………ここどこや……？)


一瞬自分の状況を理解できんかったけど
嗅ぎ慣れた匂いと見慣れた景色で
あぁ、ここは病院や…ってわかった。


(……何で僕、ここにおるん…？)


確か当直が終わって家に帰ったはず…


いや、もしかしたら帰ってへんのか…？


ボーッとする頭を一生懸命覚醒させる。


ふと右手に温もりを感じて見ると…


(……A…………。)


そこには僕の手を握ったまま、
ベッドに伏せて眠ってるAの姿。


誰かが掛けてくれたんやろな、
Aの背中にブランケットが
掛けられてる。


Aを起こさんように、
重たい身体をそーっと起こすと
そこで初めて自分に
点滴が繋がってると気づいた。


ここは栄翔病院の
どっかの病棟の個室やな…。


「んん…………」


Aがモゾモゾと動いて、
起こしてもーたかなと思ったけど
体制を変えて、またスヤスヤ寝とる。


こっちに寝顔を向けた
Aの頬には涙の跡があって…。


(……僕、何したん…？

何かAを悲しませるようなこと

したんやろか…。)


一人で泣いてたんかな…って思うと
ほんま申し訳なくて
ごめんな…って思いながら
サラサラの髪の毛を撫でた。


何でここにいるのか、
何があったのか、
覚えてないことに不安を感じつつも
誰か呼んだりしたら
Aを起こしてまうと思って、
誰かが部屋に来てくれるのを待った。



それからそんなにしないうちに
病室のドアがそーっと開いて、
入ってきたのは…


裕「……!!

マルっ!!目ぇ覚めたん?!」


隆「しー!!

A起きてまうやんっ!!(ｺｿｯ」


入ってきたのは横山くんやった。


裕「あっ……ごめんごめん…。

マル、どうや？具合。」


隆「どうって言われても…。

なぁ、何があったん？

何で僕、ここにおるん？」


裕「……嘘やん…。

何も覚えてへんの？」


隆「何もって……何？

僕、当直終わってから

お家帰った気ぃすんねんけど…。」


裕「……お前、家に着いた途端、

玄関で倒れてんねんで。」


隆「えぇ?!」


それからの横山くんの話は
衝撃的なもんやった…。

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