シスコン☆ドクター。３〈橙〉

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あなたside




裕『もしもし？』


「えっ……ｸﾞｽｯ……誰…ですか…？」


電話の向こうから聞こえてきたのは
全く知らない人の声。


でもお兄ちゃんのお友達の
お医者さんだって言ってたし、
とりあえず誰かに
助けを求めなきゃって思って、
必死で今の状況を伝えようとしたけど
自分でも何を言っているのか
わからないくらいめちゃくちゃで。


落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃって
思うほど気持ちばかり焦っていく。


裕『Aちゃん、落ち着いて？

ゆーっくり深呼吸してみよ。

大丈夫やから、な？』


横山先生の優しい口調に促され、
ゆっくり大きく数回深呼吸をする。


「スー…ハー……スー…ハー……(泣)」


裕『そうそう…上手やで。

……大丈夫？落ち着いた？』


「はい……ｸﾞｽｯ…大丈夫です…(泣)」


裕『もう一回教えて？

マルが熱出して倒れた？』


「ｸﾞｽｯ……はい……っ…(泣)」


私は

帰ってきてそのまま玄関で
倒れていたこと、

話しかけても反応がないこと、

すごく熱が高そうということ、

私一人では動かせないこと、

を順番に横山先生に話した。


途中何回も涙が出てきて、
またパニックになりそうになったけど、
横山先生が電話越しに
『大丈夫、大丈夫』って
優しく言ってくれたから
何とか正気を保つことができた。


裕『そっかそっか…

帰って来た思うたら倒れてるんやもん

そらびっくりするよな。

よしよし、怖かったな。』


「うぅ〜…ｸﾞｽｯ……うんっ…(泣)」


裕『今から、救急車そっちに行くように

連絡するからさ。もう少し待ってて？

うちに運んでもらうように言っとくから。

俺病院の前で待ってるから

Aちゃんも一緒に乗ってきてな？』


「ｸﾞｽｯ…ﾋｯｸ…はい……っ…(泣)」


裕『Aちゃん、マルは大丈夫やから。

Aちゃんがお熱出てしんどいとき

マルは泣いてるか？』


「んーん…ｸﾞｽｯ……泣いてない…(泣)」


裕『ん、せやろ？

やからAちゃんも泣き止まな。

マルが心配すんで？』


『んっ……ｸﾞｽｯ………はい…。』


裕『よしよし、

そしたら一回電話切るな？

病院で待ってるからな！』


「はい……。」


(……切れちゃった…。)


横山先生のこと信じて
救急車来るの待とう…。


もう少し頑張ってね…お兄ちゃん…。


何もできない妹でごめんね…(泣)

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