好き 美門 ページ9
三人称だけど美門目線
「翼、何度言ったら分かるの！ごはんよー！」
「ん…。」
階下で聞こえる、母の叫び。
その声に気のない返事をして、ベッドの上で寝返りを打つ美門。
最近は一日中、こうして、ベッドの上で過ごしている。
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だるい。
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体を動かすのがだるい。
脳を働かせるのがだるい。
誰かと話すのがだるい。
起きるのも、食べるのも、話すのも、考えるのも、走るのも歩くのも、寝るのも、
すべてが嫌。
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俺、いつから、こんなになった？
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考えなくても、答えは分かってる。
あの時だ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
今でも夢に出る、あの瞬間。
指先に触れた、彩の髪。
僅かに鼻をくすぐった、あの香り。
下へ落ちて行った、あの姿。
視界から消えた、あの笑顔。
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・
なぜ、止めることができなかった？
いまだに問う、自分自身への疑問。
あの時、あの瞬間で、止めることができたのは、自分しかいなかったのに。
なぜ…。
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・
美門は、静かに、手を上に翳した。
窓の外から入ってくる、豊かに満ちた月光が、指の間から零れ、自分の顔に光を落とす。
自分の指の間から、零れる様に落ちていった彩。
グッ
拳を握りしめた。
流れ星のように、その瞳から輝きながら落ちていく涙。
キラキラと光り、そして落ち、あっけなく消える。
「アーヤ。」
その名を、呼んだ。
愛が溢れるその声で、
静かに響くその言葉。
許しを請うように、
その名を求めるように、
何度も何度も呟いた。
言葉と共に溢れる思い。
愛してる、愛してる、愛してる＿＿＿＿＿＿＿！
いまさら遅い。
もう、伝えることはできない。
美門の中で、何かが呟いた。
＿＿＿＿そんなことは、わかってる。
でも………
思いは、止められない。
・
゛翼、いい子だよね。″
゛もう、翼っ！″
゛分かった、翼。″
・
゛…大好きだよ、翼。″
・
もう一滴、美門の瞳から、流れ星が落ちた。
・
もう、無理。
・
アーヤ、愛してる……。
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美羽 - すごくおもしろかったです。 (2月6日 15時) (
レス) @page50 id: abf6832c1a (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 涙が止まりません､！こんなに感動するいい話初めてです！これからも応援するので頑張ってください！ (11月5日 13時) (レス) @page50 id: b10f41175b (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - ものすごくいい話だと思います。途中で、涙が出て止まらなくなってしまいました。こんなにも感動する話を書けるなんてすごいと思います。全力で応援するので、頑張ってください！ (2023年3月11日 20時) (レス) @page50 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 涙の止め方…誰か教えてください……(´；ω；｀)ｳｯ… (2022年7月20日 9時) (レス) @page50 id: 7969a82418 (このIDを非表示/違反報告)
小三 - 後半涙が出てしまい止まりませんでした。面白い？というかなんだろう。感動してしまう作品ですね。 (2022年4月19日 18時) (レス) @page50 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
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