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五十話/意外と重い中島敦 ページ50

「その通りだ」


武装探偵社社長 福沢諭吉───能力名『人上人不造(ヒトノウエニヒトヲツクラズ)


「ーー!」


声に振り返えれば、そこには男が居た。襟足部分を伸ばした白髪に、落ち着いた色合いの和服に身を包んでいる。顔に薄く刻まれている皺から、大体四十歳位だろうかと予想する。


「社長」


「しゃ社長!?」


正面、扉から姿を現した白髪の男へと、国木田が頭を下げる。その国木田が口にした言葉に、敦が驚きの声を上げた。


「そこの太宰めが『有能なる若者がいる』と云うゆえ、その魂の真贋(しんがん)、試させて貰った」


「君達を社員に推薦したのだけどAちゃんはど…身元不明だし、如何せん君は区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内で揉めてね」


「ーーーー」


「で、社長の一言でこうなった、と」


Aの説明をする際に、『泥棒猫』とでも云おうとしたのだろうが、そこは視線で黙らせておいた。
生きる為とはいえ、盗んだことが事実なのは認めている。だが、此処には敦がいるのだ。彼に知られるのだけはお断りしておきたい。


「で社長……結果は?」


生来Aはその外見から、人に見られる機会が多かった。自分を見る視線は全てと云っていいほど愛情に、愛しさに溢れていて。だからか、値踏みするような視線や、真意が読み取れないものは苦手だった。

それは、この瞬間も例外ではなく、全く真意の読み取れない白髪の男。
彼の視線に射抜かれ、Aの居心地は最悪だ。
と、そんな最悪の状況にやっと変化が生じてーー、


「太宰に一任する」


「合格だってさ」


「つ、つまり……?僕達に斡旋する仕事っていうのは」


「此処の仕事だったと、そういうことですか?」


これで若し、「そうだよ。ようこそ武装探偵社へ」などと太宰が答えたなら、即刻敦を姫抱きして逃げよう。
と、そんな覚悟を孕んだAの問い掛けに、太宰は薄く笑って此方へ手を差し出すと、


「武装探偵社へようこそ」


「行こう敦君」


「え、うおあっ!Aちゃん!?」


予想通りと云えば予想通りの返答に、Aは即効で敦を姫抱きした。がーー、


「こ、んな物騒な職場に…ん゛っ、敦君を入れられません」


意外と重い敦を抱え乍ら歩くも、その速度は亀より遅い。格好付けようと思ったのに格好悪いし、恥ずかしい。
そうして顔を赤く染めるAと敦に、


「おや、君達が無理と云うなら強制はできないね」


救いの手ならぬ声が差し伸べられた。

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女中(プロフ) - よくねたしおだおぉぉぉぉ!!!さん» 米有難うございます励みになります!!!初めてコメントとかきて過呼吸なりました(Tほんとに!!有難うございます!!! (2022年2月7日 9時) (レス) id: 44e9453d1b (このIDを非表示/違反報告)
よくねたしおだおぉぉぉぉ!!! - ウワァ、、好き、、もっと評価されるべき!更新待ってます!!! (2022年2月6日 19時) (レス) @page45 id: a2762c3708 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:女中 | 作成日時:2021年12月4日 16時

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