四十三話/その男の笑みは ページ43
思えば、虎探しの際にもこの二人は行動を共にしていた。
恐らく二人は「武装探偵社」内のコンビのような関係なのだろう。
理想を重んじる国木田と自由人の太宰。名付けて凸凹コンビがどのように異能を駆使して、どのように連帯して爆弾魔を捉えるのか。
二人の次の行動を想像して、敦は頬を硬くした。
「何、してるんですか」
そんな敦の予想を遥かに高く超えた二人の行動。
それに、Aは驚きに声を上げ、敦も唖然とする。
太宰と国木田はお互いに人差し指と中指を突き立てていた。
「ーーーー」
もう一度、二人の手が勢いよく出された。今度はお互いに手を開いている。
これは、
兎に角、これは両拳などでは無い。断じて否。
「何って、両拳だよ。見れば判るだろう?」
ーー。ーー。ーー。ーー。ーー。
再び、太宰は拳を開いた。その手に対し、国木田の方は拳を開いていない。
太宰
太宰はこれ見よがしに手を出し乍ら、国木田に歯を見せて口を歪ませた。その勝利者の笑みに国木田はわなわなと震えだし、舌打ちする。
そして、そのまま太宰の手が示す方向へ一人で歩いて行ってしまった。
「国木田、さん」
太宰の手の先、そこは爆弾魔と人質がいる場所を示していた。
そんな危険地帯に単身で向かっていく国木田に、Aが声を上げたのは当然だった。
「おい、落ち着け少年」
「来るなァ!吹き飛ばすよ!」
爆弾魔が遠隔操作器を盾に叫ぶ。その様子に青年を無駄に刺激しないよう、国木田は両手を挙げた。
「知ってるぞアンタは国木田だ!アンタもあの嫌味な『能力』とやらを使うンだろ!?」
「
「妙な素振りをしたら皆道連れだ!」
敦の素人目でも分かる。圧倒的不利な状況だ。
ーー向かうのが、国木田だけなら。
思考がそこまで到達した瞬間、敦の躰を悪寒が走り抜けた。前にも味わったことのある感覚だ。それもつい最近。確か、昨日に。
「まずいねこれは。探偵社に私怨を持つだけあって、社員の顔と名前を調べてる」
「敦、君」
「社員の私が行っても余計警戒されるだけか……却説、どうしたものか」
太宰はそこまで云うと、敦とAの方を見て口を歪ませた。
ーーそれは、国木田を単身で向かわせた時と同じ笑みだった。
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女中(プロフ) - よくねたしおだおぉぉぉぉ!!!さん» 米有難うございます励みになります!!!初めてコメントとかきて過呼吸なりました(Tほんとに!!有難うございます!!! (2022年2月7日 9時) (レス) id: 44e9453d1b (このIDを非表示/違反報告)
よくねたしおだおぉぉぉぉ!!! - ウワァ、、好き、、もっと評価されるべき!更新待ってます!!! (2022年2月6日 19時) (レス) @page45 id: a2762c3708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:女中 | 作成日時:2021年12月4日 16時