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四十二話/或る爆弾 ページ42

「嫌だァ……もう嫌だ……」


国木田と太宰に連れてこられた部屋の最奥、敦と差ほど変わらないように見える青年が机の上で呻いている。その左手には通信機のような物が握られていて。


「全部お前等の所為(せい)だ……『武装探偵社』が悪いンだ!社長は何処だ。早く出せ!でないとーー」


爆弾魔はそう叫ぶと、机の下の猿轡をされている制服姿の女性を自分の方へ引き寄せて、


「爆弾で皆吹っ飛ンで死ンじゃうよ!」


そこで敦は漸く気が付いた。爆弾魔の左手、そこに握られているのは通信機。そんなものではなく、爆弾の遠隔操作器(リモコン)だと。
ということはつまり、少年は何時でも爆弾を起動させられるということだ。


「あちゃー」


「ーーなんですか、あれ」


「怨恨だ」


「怨恨?」


国木田の確信めいた言葉にAが眉を寄せる。その少女の仕草が、敦には国木田の一言に対するだけの反応では無いように見えた。


「犯人は探偵社に恨みがあって、社長に合わせないと爆破するぞ、と」


「ウチは色んな処から恨みを買うからねぇ」


云い乍ら、太宰は自分の身を隠している観賞用の茂みから少しだけ顔を出す。
その彼の視線の先には、人質の隣に置かれている小ぶりの爆弾。


「ーー私も」


何故か太宰の隣を頑なに拒否して、現在進行形で敦と国木田に挟まれているA。彼女は太宰の様子に目を細め、同じく爆弾を覗き見しようとする。


「Aちゃん!」


「わっ」


探偵社に在籍していて、荒事に慣れているであろう太宰は兎も角、Aは一般人で女の子なのだ。
流石に危ないと、敦はその細い腕を引っ張った。


「うん……あれ高性能爆薬(ハイエクスプロオシブ)だ。この部屋くらいは吹き飛んじゃうね」


「昔読んだ本に、爆弾に何か被せて爆風を抑えれば被害を最小限に抑えることができると記述されていたものがありました。ーー何か、無いんですか?」


「あるにはあるけど、この状況じゃなぁ」


「ーーどうする?」


八方塞がりにも思われる状況に一瞬、沈黙が落ちる。


「会わせてあげたら?社長に」


「殺そうとするに決まってるだろ!それに、社長は出張だ」


その重い沈黙を破った太宰だったが、案を跳ね除けられ、「となると……」と顎を引いた。


「……人質をどうにかしないと」


太宰はそう呟くと、勢いよく立ち上がった。
同じく国木田も勢いよく立ち上がる。

そんな二人の息のあった動きに、敦とAは息を呑んだ。

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女中(プロフ) - よくねたしおだおぉぉぉぉ!!!さん» 米有難うございます励みになります!!!初めてコメントとかきて過呼吸なりました(Tほんとに!!有難うございます!!! (2022年2月7日 9時) (レス) id: 44e9453d1b (このIDを非表示/違反報告)
よくねたしおだおぉぉぉぉ!!! - ウワァ、、好き、、もっと評価されるべき!更新待ってます!!! (2022年2月6日 19時) (レス) @page45 id: a2762c3708 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:女中 | 作成日時:2021年12月4日 16時

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