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ボーダー隊員の嵐山さんに助けられた。ゲートが目の前で開いて、中からバムスターが現れて。思わずトリガー起動と言いそうになったけれど、今の私はトリガーを持っていないことに気づいて慌てて口を閉じた。
一瞬でバムスターは嵐山さんに倒され、今のボーダーはこんなにも成長しているんだと唖然とした。
「こいつの名前、知ってるんですね」
投げかけられた言葉に、思わず嘘をついた。嵐山さんは私のことを一般市民だと思っている。まさか目の前の女がもともとボーダーの人間でやっと地球に戻ってきた人物だなんて誰も思わないだろうし、人殺しとなった今、ボーダーに戻る決心なんて今はなかったから。それなのに。
「お話があるので本部に来ていただきます」
木虎さんという女の人の後ろをついて歩いている。決心なんてつける暇もなく、私は今のボーダーの本部に強制的に連行されているのだ。
本部が近づくにつれて、心臓が早くなっていく。自分の知っているボーダーは川の上に立っていたから、今目指す建物は知らないものだった。それでも古巣のような、ボーダーという響きは、三門市に住んでいた記憶を呼び戻す。立ち並ぶ家々や、街並みは記憶の隅にあったものだ。懐かしい店や看板、人の気配のない街。
息が詰まるようだった。
「ここが本部です。中で少しお待ちください」
ついに本部に足を踏み入れた。通された部屋はソファと机があるだけの無機質な部屋だった。木虎さんは扉を閉めてどこかへ行ってしまった。静かにソファに座った。
これから、どうしよう。共に戦ったみんなは、ここに居るのだろうか。こんな汚れてしまった私は、どうすれば。
「A」
扉が開いて、私の名前を呼ぶ声。見上げた視線の先には記憶の中のそれより少し成長していた、迅が私を見つめて立っていた。
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鏡 - なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます!好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…!本当に本当にありがとうございます!嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね! (2022年10月1日 20時) (レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます!この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください! (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - 璃々さん» コメントありがとうございます!手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです!続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました!不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね! (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します!近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです!!!夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます!頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - ゆん。さん» コメントありがとうございます!世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます!私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…!これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します! (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鏡 | 作成日時:2022年6月30日 2時