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「よ〜A。初日で3000点取ったんだって？」
「迅、おかえり」
お風呂から上がるとリビングには迅が帰ってきていた。三雲君や千佳ちゃん、烏丸君たちは自宅に帰ったらしい。玉狛支部にはいつものメンバーが揃っていた。
「Aちゃん、髪が濡れてるぞ、風邪を引いてしまう」
陽太郎はそう言いながら私に近づく。
「ありがとう陽太郎、陽太郎もそろそろ寝る時間だよ」
「うむ……」
陽太郎の頭をなでる。もうすでに眠いのか少しだけうつらうつらとしている。私はそのまま陽太郎を抱きかかえる。甘えたように自分の胸にこてんと頭を寄せる陽太郎がとても愛おしかった。
「陽太郎、部屋に戻すね」
「ああ」
「……迅、この後少し時間いいかな」
目線を陽太郎に向けながら迅に問う。迅は優しく「いいよ」と呟いた。
陽太郎を部屋に連れていき寝かしつけてから自室に戻る。乾ききっていない自分の髪をドライヤーで乾かす。ちょうど乾かし終わりドライヤーを切ったタイミングで自室のドアがコンコン、となった。
「迅？」
声をかけるとドアが開く。開けたのはやはり迅だった。
「入隊式、どうだった？」
後ろ手で迅はドアを閉める。迅は少し困ったように眉を寄せて笑っていた。
「見えてたんじゃないの？」
「はっきりとは見えてないよ。まあ嵐山に話聞いてもらってるところは見えてたけど」
ほら見えてるじゃん、そう言いかけて止めた。そこに腰掛けなよ、と私はベッドを指さす。迅はゆっくりと足を進め私のベッドに座った。ぎしり、とベッドが軋む。
「……手が、震えたの」
自分の手を見つめる。今日は、何度この手を見つめたんだろうか。迅は静かに私の話に耳を傾ける。
「ボーダーの皆と戦う、そうなった時の迷いのない動き。人を殺める映像が頭の中にフラッシュバックして……それなのに動きは鈍くならない」
ぎゅっと手のひらを握りしめる。
「自分が自分じゃなくなるような。ただの戦う道具になり下がっていくような気がして……」
手のひらから視線を上にあげる。迅の目を見つめる。その目にはどんな未来が見えているんだろう。
「迅には、どう見えてた？」
そう呟いた声は少しだけ震えていた。迅の青い目が私を捕えている。重たげな瞼がゆっくりと閉じる。遮られた視線の余波がまだ私を離さない。迅は再度目を開け、口を開いた。
「今はさ、俺を頼ればいいよ」
青は少し冷たさを感じるような色。お風呂で温まった体にはほんの少しの毒だった。
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鏡 - なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます！好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…！本当に本当にありがとうございます！嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね！ (2022年10月1日 20時) (
レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください！ (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - 璃々さん» コメントありがとうございます！手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです！続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました！不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね！ (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します！近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです！！！夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます！頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - ゆん。さん» コメントありがとうございます！世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます！私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…！これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します！ (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡 | 作成日時：2022年6月30日 2時
