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照りつける太陽が、じくじくと私の肌を焦がす。生身の体には暑さも、歩き続けた疲れも響いてくる。どれだけ、この土地を踏みしめたかったろうか、どれほどこの太陽の熱を焦がれただろうか。
ずっと昔に、皆と近界へいった。同盟国を助けて、本国へ戻ろうとした。けれど、私だけが残った。いや残らざるを得なかった。艇が出る、そのためには私が残らなけらばならなかった。艇を狙うトリガー使いの足止めのため。私が残ると伝えたとき、迅は止めなかった。つまり、私が残れば艇は、みんなは無事に戻ることができるということ。
「私が残るよ」
声は震えていないだろうか。一人残される恐怖を感じないように、皆の顔を見ないように。見たらきっと揺らいでしまうから。
それから、数年。フリーの戦闘員として色んな国を渡り歩いた。傭兵として戦争に駆り出されていた。運が良ければ地球に戻れるかもしれない、そんなかすかな希望を胸の底に抱きながら。
今まで自分はどれほど恵まれた環境にいたんだろう。鼻腔に広がる血の匂いに、最初は吐き気がした。鉄臭くて、それに被さる肉が焼ける匂い。今ではとうに慣れてしまった。やらなければ、自分が死んでしまう、そんな環境の中で自分の精神はすり減りながら、それでも徐々に人を突き刺す感覚は鈍くなっていく。慣れていっているのだ。それに気づいたとき、私はもう今までの自分ではないのだと悟った。
来る日も来る日も、戦闘をする日々。あの日、残るといったあの日。迅の目にはこの私の姿が映っていたんだろうか。
「A、」
私が私である唯一のものはもう名前だけであった。今の雇い主から声をかけられる。
「今我々の近くを通る国はAの国だそうだ」
頭を打ち付けられたような感覚だった。
「今まで、よくやってくれた」
開いたゲートから、ゆっくりと足をおろす。草が生い茂る森の中だった。ゲートは私一人を置いて静かに閉じていった。ざわざわと木々が揺れる。空気を肺いっぱいに吸い込んだ。川が流れる音が聞こえてくる。その方角へ足を進めた。見えた小さな川を、下へ下へとたどっていく。木が徐々にまばらになっていく。視界が段々と開き、小さな農道にでた。どくどくと、心臓が音を立てる。確信を持てなかった心が、ここは日本だと叫んでいる。足は徐々に駆けていく。農道をたどると小さな民家が見えた。
「あんた、どこの人だい」
生身の耳に聞こえてきたのは母国の言語だ。
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鏡 - なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます！好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…！本当に本当にありがとうございます！嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね！ (2022年10月1日 20時) (
レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください！ (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - 璃々さん» コメントありがとうございます！手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです！続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました！不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね！ (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します！近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです！！！夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます！頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - ゆん。さん» コメントありがとうございます！世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます！私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…！これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します！ (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡 | 作成日時：2022年6月30日 2時
