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埃が被っていると思っていた。扉を開けた先の部屋、それは想像以上に綺麗に残っていた。
「小南とか、俺とか、勿論レイジさんも。玉狛に残ってる奴らは皆Aのこと忘れたことは無かったよ」
ドアに手をかけたまま、部屋の前で立っていた私に話しかけたのは迅だった。
「掃除してたんだ、いつAが戻ってきてもいいように」
机と本棚、ベッドがあるだけの殺風景な部屋。それでも私の私物は5年前の時のまま、そこに置かれていた。まるで昨日までここに人が住んでいた、そんな風に人の気配を残したままの部屋。
「ありがとう、迅。皆……」
声は震えていた。何度も込み上げそうになる涙を飲み込むようにして、私は俯いた。迅は静かに私の後ろから距離をとった。
「飯が出来たら声かけるよ、それまでゆっくり休むといい」
「うん、」
ぎしりと廊下の軋む音がする。遠くから彼らの楽しそうな声がする。目を閉じれば、そこにあるのは戦場だった。でも、それはもう過去のことだ。帰ってきたんだ。ここが、私の場所。
部屋の中に足を進める。机に埃は被ってなんかいなくて皆が綺麗に掃除をしていたことが伺えた。ぱた、ぱたと堪えていた涙が机の上に音を立てて落ちる。手を無意識に握りしめていた。血の匂いと肉が焼ける匂い、火薬の匂い、自分に染み付いた戦争の匂いと5年前のこの部屋の匂いがごちゃ混ぜになっていた。
迅はきっと、私が人目を気にせず泣けるように皆の元へ戻ったんだろう。その優しさに甘えて、迅から声がかかるまで私はこの部屋の中で泣いていた。
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鏡 - なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます!好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…!本当に本当にありがとうございます!嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね! (2022年10月1日 20時) (レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます!この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください! (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - 璃々さん» コメントありがとうございます!手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです!続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました!不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね! (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します!近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです!!!夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます!頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - ゆん。さん» コメントありがとうございます!世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます!私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…!これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します! (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鏡 | 作成日時:2022年6月30日 2時