読書 ページ8
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「八百万。」
「相澤先生。久しぶりだね、どうしたんだい?」
教室で本を読んでいると、去年の担任が扉を容赦なく開けて入ってきた。
俺は本に栞を挟み、机にしまう。
「お前に頼みたいことがあってな。」
「へぇ……移動する?」
「教室にお前以外いないんだから、移動しようがしまいが意味ないだろ。合理的じゃないな。」
相澤先生は急いでいるのか貧乏ゆすりを抑えることなく若干早口で話を済まそうとしてくる。
「で、話って?」
「あぁ、一年のヒーロー科が夏休み林間合宿をやるのは知ってるよな。」
「百から聞いてるよ。相澤先生と戦ったんだよね、百は成長してる?個性の調子とかどうかな」
「……後でな。
それで、お前にもそこに行ってほしいんだ。」
そこに……俺も林間合宿に行くってこと?
目を細めると、自然と口角も下がってきた。
「……何でまた?」
「そもそも、お前は去年林間合宿に行っていない。それに加えて二年の生徒数も三年、一年に比べて圧倒的に少ないんだよ。ヒーロー科ともなるとな。」
「それは去年相澤先生がまるまる一クラス除籍にしたからじゃないかな。」
「……とにかく、お前は本格的に参加しなくていい。サポートに回って欲しい。」
……先生から直々にってことは、これは頼みというか命令みたいなものだ。
校長先生に楯突く訳にも行かないし……
「いいよ。正直夏休みは暇だったんだよ。」
「助かる。これがしおりだ。きちんと読んでおけよ。」
待っていたかのようにしおりを俺に渡すと、先生は足早に去っていった。
相変わらず合理的だな。
しかし、林間合宿か。
面白くなりそうだな、なんて思いながら俺はがらんと空いた教室の真ん中で、一人読書を再開する。
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なほ(プロフ) - この作品とっても面白いのに終わりは悲しい...!!いつかまた更新されることを祈ります!! (2022年8月22日 2時) (レス) @page37 id: e03e668129 (このIDを非表示/違反報告)
やまは(プロフ) - 続きがとても気になります…!更新される日を待ってます!! (2022年4月2日 18時) (レス) @page37 id: d3221d33a6 (このIDを非表示/違反報告)
海月 - 報告のラグドールがグラドールになってますよ (2021年10月12日 17時) (レス) @page25 id: 529b7db5a1 (このIDを非表示/違反報告)
ライア@liar_onlooker - お、終わり…ですか…?('°'`) (2021年1月5日 11時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - 八百万ちゃんかわいいよねー (2020年8月14日 18時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小林 x他1人 | 作成日時:2018年8月11日 3時