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YG「なにがそんなに嫌なんだよ。胸の音聞いて、いつも通り触診するだけだ。なにも痛いことないだろ？」
「それはそうだけど…」
YG「それとも、診られたら困ることがあるのか？」
「ち、違うよ！ほんとになんともないんだもん。元気なんだから診察なんて必要ないって言ってるの！」
YG「はぁ…。お前な、俺は医者だぞ？そんな顔色して大丈夫って、通用すると思ってんのか？」
なんとか諦めてもらえないかと説得してみるけれど、こうなると先生は1歩も引いてくれない。
どうしようかと視線をさ迷わせていると、テーブルの上に並べた手付かずの料理たちが目に入る。
温かいうちに食べてもらいたかったのに、こうしている間にどんどん冷めていってしまう。
私は焦って、少し強引に先生の腕を引いた。
「ねぇ、今日はいいじゃん。先生だって疲れてるでしょ？ごはん食べようよ。せっかくできたてだったのに冷めちゃう」
YG「そんなこと今どうだっていいだろ！」
「っ…」
鋭い声が耳元に響いて、思わず息を飲む。
反射的に肩を震わせた私に先生ははっとした表情になって、ばつが悪そうに視線を泳がせている。
「私、もう先生の患者さんじゃない…っ」
謝らなくちゃ。
そう思うのに、口をついて出た言葉はずっと胸の奥にしまっていた本心だった。
一瞬だけ驚いたように目を見開いた先生は、しばらくの沈黙のあと声を落としてそうだなと呟く。
YG「悪い、大声出して。…俺、これでも心配してんだよ」
「ん…っ」
そんなこと、言われなくても本当は痛いほど分かってる。
どこまでも身勝手な自分に嫌気がさして、泣き出してしまいそうになるのを堪えながら必死に頷いた。
ユンギ先生、きっと呆れてるよね。
こんなはずじゃなかったのに。
私、先生を困らせてなにやってるんだろう。
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作者名：yuzu | 作成日時：2022年6月5日 21時
